甲子園の“代償”!? 酷使された絶対的エース6人
安樂智大(772球)
投打:右投右打 身長/体重:186cm/87kg 生年月日:1996年11月4日 経歴:済美高 ドラフト:2014年ドラフト1位 “投げすぎ問題”の発端ともいえるのが、済美(愛媛)で活躍した安樂智大の投球数だった。 1年秋の時点で背番号「1」を背負い、エースとして君臨した安樂。最速157km/h右腕として注目を集め、2年春のセンバツ甲子園に出場。 しかし、同大会で1試合232球を投げたことに加え、計5試合で772球という球数が物議を醸した。安樂は同年秋に右肘を痛めており、この投球数が影響を及ぼした可能性は高いといえるだろう。 最後の夏は思うような投球ができなかったものの、東北楽天ゴールデンイーグルスがドラフト1位で安樂を指名。プロでは高校時代のような剛速球は影を潜め、度重なる故障も経験した。 ただ、2020年からリリーフに転向すると、多彩な変化球を駆使しながら打者を翻弄。ピッチングスタイルの変化により、2021年は58試合で防御率2.08と飛躍を見せた。 とはいえ、150km/hを優に超える投球が難しくなったのは、甲子園での投球数も一因といえるだろう。
大野倫(773球)
投打:右投右打 身長/体重:185cm/85kg 生年月日:1973年4月3日 経歴:沖縄水産 - 九州共立大 ドラフト:1995年ドラフト5位 1991年夏の甲子園で、沖縄水産(沖縄)を準優勝に導いた大野倫。同大会では773球を投げ切った。 エースで4番とチームの支柱だった大野は、1991年夏の甲子園に出場。前年夏の甲子園では準優勝しており、悲願の全国制覇を目指す大会となった。 1回戦の北照(南北海道)戦から先発登板すると、9回3失点完投勝利。次戦の明徳義塾(高知)戦では11安打を許しながらも、5失点完投勝利を収めた。 その後も大野の熱投は続き、決勝戦まで勝ち進んだ沖縄水産。しかし、相手はのちに2度の春夏連覇を達成する大阪桐蔭(大阪)だった。 決勝戦は壮絶な打ち合いとなり、一時は沖縄水産が7-4とリードした。だが、大野は9回を投げ切ったものの13失点を喫し、乱打戦の末に8-13で敗戦。惜しくも2年連続準優勝に終わった沖縄水産だが、大野は同大会で773球を投げ切る熱投を見せた。 大会後、大野は右肘の疲労骨折が発覚。九州共立大では野手転向を余儀なくされたが、外野手として優れた実績を残し、1995年ドラフト5位で読売ジャイアンツに外野手として入団。 2000年オフには福岡ダイエーホークス(現:ソフトバンク)に移籍したが、プロでは通算31打数5安打と結果を残せず。2002年限りで現役生活に別れを告げた。
ベースボールチャンネル編集部