山下リオ 14歳の時にスカウト、15歳で「三井のリハウス」12代目リハウスガールに抜擢されてデビュー!
■いじめもあった暗黒時代だった中学生の頃と東京のキラキラした世界のギャップに
2008年、映画「魔法遣いに大切なこと」に主演。この作品は、“魔法遣い”が当たり前に存在する日本を舞台に、魔法士になるための魔法士研修で出会ったソラ(山下リオ)と豪太(岡田将生)の恋と成長する姿を描いたもの。山下さんは、限られた命をひたむきに生きるヒロインを演じた。 「初出演の映画で初主演を経験させていただきました。この作品を演じきれれば、自分自身が変われるきっかけになると期待している自分もいましたが、急激な環境変化について行けず、芸能界に入ったら、みんなこうやって仕事が来て決まっていく感じなんだ…みたいに俯瞰(ふかん)しているフワフワした自分もいて。 未熟だったとはいえ、当然お芝居も上手くできなくて、何か言い訳を作っては、試練から逃げ出そうとしていましたね。 私はその当時、自分の中では暗黒期というか、小学校高学年の頃からいじめがあったりして、学校にもあまり行けなくなり、自宅では引きこもり状態でした。 でも、仕事で東京に行くとすごいキラキラした世界で、みんなが『可愛い』とか『綺麗』と言ってくれて、現実とのギャップがかなりありました。『何でこんな醜い私に可愛いって言ってくれるんだろう?』って全部否定的な感じだったんです。 誰かのために誰かが作った『山下リオ』という別の人間がいて、それは私だけど私ではない気がして…徳島でも東京でも、息苦しかった時期だったかなとは思います」 ――いじめのきっかけはお姉さんが芸能界に入ったことですか? 「それもあると思います。先輩方から『目立ってんじゃねえよ』みたいなことを言われたり。うーん、同級生に黒板に『死ね』って書かれたこともありましたけど。なぜいじめられたかは明確には分からないです。 そもそも学校ではずっと居心地の悪さを感じていました。単純に、ノリを合わせたり悪口に同調したり、嫌われないように努力することが苦しかった。 いつも周りの目を気にして、給食も食べられなくなっていましたね。自分の心の奥には、優しい自分、美しい世界観があるのに、それを誰かに見せるのが怖かった。真っ暗な世界をひとりで生きていた感覚でした」 ――そういう意味では、“山下リオ”さんになれたというのはいいタイミングでもあったのでは? 「あれが、いいタイミングだったと思えるのは、今もこうして俳優業をやれているからこその結果論だとは思いますが、あれほど苦手だったお芝居に、救われていたんだなとは思います。 思っていることや感情を表に出せなかったからこそ、誰か別の人になること、演じることで自分を昇華していったというか。自分の中に溜まった膿みたいなもの、美しい感情も汚い感情も含めて、この仕事でしかそのエネルギーを還元できなかったと思いますし。何より、お芝居させてくれた方々とのご縁のお陰で救われたなと思います。」 ――結構難しい役が最初から来ていましたね。「魔法遣いに大切なこと」では限られた命の魔法遣いで 「そうですね。デビュー当時から、どちらかといえば闇を抱えた難しい役を演じることは多かったと思います。当時の暗い経験が雰囲気から滲み出ていた可能性はありますけど(笑)。 今の自分はめちゃくちゃポジティブで、ハッピー人間なんです。陰陽どちらも自分の中にあるので、振り幅を今は楽しめるというか。それが私の強みになってきたというか。これからも枠にはまらず、もっといろんな役と出会えていけたらいいなと思っています」