高校3年生の息子が「消防士」の試験を受けるか「大学進学」かで迷っています。収入面はどれくらい変わりますか?
消防士は、大学を卒業した方だけでなく、最終学歴が高校卒業の方でも採用試験を受けられます。 そのため、消防士を目指す方で高校卒業のタイミングが近づくと、卒業後すぐに採用試験を受けるべきか、まずは大学へ進学するべきか悩む方もいるでしょう。 消防士は、学歴や採用後の経験年数、地域などさまざまな要因で給料が変動する可能性もある仕事です。また、大学進学をすることで卒業後に消防士以外の仕事を選ぶ可能性もゼロではありません。 今回は、高校卒業の消防士と大学卒業の消防士、大学卒業後の会社員の初任給などについてご紹介します。 ▼会社員で「年収1000万円」以上の割合は? 大企業ほど高年収を目指せる?
高校卒業と大学卒業の消防士では初任給がどれくらい違う?
消防士は地方公務員に該当し、採用試験を受けた自治体の消防士として働くことになります。総務省が公開している「令和4年 地方公務員給与の実態」によれば、消防士として高校卒業から採用されている方の初任給の平均は17万8300円でした。 一方、同じ項目で大学を卒業した方の初任給の平均は 21万1100円です。 初任給で見ると大学卒業後のほうが約3万円高くなっていますが、消防士は勤続年数が長いほど給料も上がりやすいとされています。そのため、長期的に見ると、高校卒業と大学卒業の収入差は縮まる可能性もあるでしょう。 ◆大学卒業の消防士と会社員の初任給の差 大学進学を選んだ場合、卒業までの間に、消防士以外の選択肢を考える可能性もあります。 厚生労働省の「令和4年賃金構造基本統計調査の概況」によると、大学の新規学卒者における賃金の平均額は22万8500円でした。大学卒業後の消防士の初任給と比べると、会社員のほうが高い結果です。 ただし、実際に働くとなると、給料面だけでなくやりがいや将来に向けての人生設計も大きくかかわってきます。進路は自分がどのような人生を歩みたいのかを考えて決めるようにしましょう。
地域ごとの差はある?
消防士の収入は、高校卒業や大学卒業だけでなく、自治体によっても変動します。今回は、東京消防庁、大阪市消防吏員を例に比較しましょう。まず、東京消防庁では消防官を専門系、I類、III類の3種類に区分しています。 専門系は短期大学を除く大学を卒業したか同等の資格を持ち専門的な知識を持つ方、I類は21~35歳の方もしくは短期大学を除く大学を卒業しているか同等の資格を持つ方、III類は17~21歳の方が対象です。 つまり、専門系とI類は大学卒業、III類は高校卒業の方が主な対象といえるでしょう。東京消防庁によると、消防官の採用時の給料は以下の通りです。 ・専門系:約27万6200円 ・I類:約26万9500円 ・III類:約23万2000円 一方大阪市の場合は、消防士は大学卒業程度の「消防吏員A」と、高校卒業程度の「消防吏員B」に分けられます。それぞれの初任給は以下の通りです。 ・消防吏員A:22万8404円 ・消防吏員B:19万9056円 今回の比較では、初任給の地域差が最大で5万円ほど発生しています。また、いずれも大学卒業の方のほうが高校卒業の方よりも高い初任給が設定されていました。