変動金利の引き上げ時に銀行は足並みをそろえる? 業界の事情に詳しい銀行員が解説
日銀が、金融政策の転換にかじを切り、金利上昇への不安が高まる昨今です。今回は「銀行間で変動金利の引き上げ時に足並みをそろえることはあるのか?」という疑問に、金利上昇の兆候や銀行業界の内情を交えながら、銀行員がお答えします。(金融ライター・加藤隆二、現役銀行員) 大手銀行の10年後の変動金利は0.7%~2.3%と当サイトは試算 目次変動金利とは?どうなったら上がるのか?銀行は足並みをそろえているのか?足並みは揃えていないのに、なぜ同じような金利になるのか?銀行員が考える「変動金利一斉引き上げ」の前兆まとめ
住宅ローン金利とは?どうなったら上がるのか?
金利上昇の銀行事情を述べる前に、金利がどのような仕組みで決定され、どうなったら上昇するのか、カンタンにおさらいしていきましょう。 そのほうが、後半の内容をより吸収しやすくなります。 変動金利の仕組みと金利が上昇する要因 変動金利では、以下のポイントを押さえておきましょう。 ・変動金利は短期プライムレート(*)に連動する形式が多いが、ネット銀行など連動しない銀行もある ・短期プライムレートなどをもとにした「基準金利」があり、顧客はそこからマイナス○○%優遇された実際の金利(適用金利)で借りる ・基準金利に連動しているので、基準金利が上がれば引っ張られて自分の金利も上がり、下がれば自分の金利も下がる (*)短期プライムレート:銀行が大企業などに対して行う1年以内・短期融資の最優遇金利のことで、市場金利に左右される。現在の短期プライムレート水準は1.875%、最高値は1990年12月の8.25% 固定金利の仕組みと特徴 固定金利のポイントは次の通りです。 ・固定金利は長期金利(原則10年国債新規利回りなど)をもとに各銀行が2,3,5,10年あるいは最終回まで全期間の固定金利を決定し、毎月発表している ・自分に固定金利が適用されている間は、金利上昇の不安はない ・金利上昇リスクに過敏な人が固定金利を選んできたが、そういった人たちはこれから金利上昇に進めば「固定金利を選んでおいてよかった」と自分の選択に納得する。 ・逆に金利が上がらず、今の低金利水準が続いた場合は「変動金利にしておけば、こんなに金利を払うこともなかったのに」と後悔するかもしれない