ホテル・データセンターが好調の一方で物流施設は苦境に、注目の不動産3セクターで明暗が分かれたワケ
金利上昇基調を受け、不動産は事業会社が戦略的に価値を上げようとする「バリューアッド」という考え方が軸に。一方で、マンションについては「居住価値×資産性」で選別する時代に突入している。『週刊東洋経済』1月11日号の特集は「不動産&マンション新次元」だ。2025年の年頭に押さえておきたい、最新のオフィス、ホテル、物流施設、データセンター、そしてマンションの最新事情を紹介する。 【図解】ホテルREITの平均客室単価はコロナ禍前を上回ってきた 不動産業界で注目度が高い3つのセクターの最新動向を見ると、各セクターで明暗がくっきりと分かれている。
■ホテル|外資系が続々と開業 訪日客需要の復活で活況に沸くホテル業界。ホテル特化型上場REIT(不動産投資信託)の2024年度の平均客室単価(ADR)はコロナ禍前の2019年度を超える高水準となっている。 中価格帯ホテルを中心に運用するいちごホテルリートや、中・高価格帯ホテルを所有するジャパン・ホテル・リート、高級ホテルなどを所有する星野リゾート・リートは、いずれも2024年度ADRが2019年度比で2桁%増。各価格帯で好調だった(ジャパン・ホテル・リートの2024年度数値は中間期時点での予測)。
訪日客のさらなる取り込みを狙い、デベロッパーは外資系ホテルの誘致に注力する。海外での知名度の高さに加え、外資系ホテルの会員基盤が集客力に直結するためだ。グローバルホテルチェーンの会員数はヒルトンが約1.8億人、マリオットは約2億人にも及ぶ。 2025年4月に三菱地所などが手がけるグラングリーン大阪にヒルトン傘下の「ウォルドーフ・アストリア大阪」が開業するなど外資系ホテルの日本進出は加速している。
ホテルブランドの多様化も進む。ウォルドーフ・アストリアや、森トラストの東京ワールドゲート赤坂に2025年秋開業予定のアメリカの高級ホテル「1 Hotel Tokyo」は、日本初上陸のブランドだ。 不動産サービス大手・JLLでホテル事業を統括する大橋蔵人氏は「収益力向上を狙い、デベロッパーなどが既存ホテルを日系から外資系ブランドに変更するリブランドも増加している」と話す。 大和ハウスグループが運営するJR京都駅前の「ダイワロイネットホテル京都グランデ」は、2024年に「ダブルツリーbyヒルトン京都駅」へ改修された。同ホテルの2025年1月平日の宿泊料金はツインルームで約2万円と近隣のダイワロイネットホテルより3割ほど高い。