「政界のフィクサー」「球界のドン」渡辺恒雄氏が残したもの…御厨貴名誉教授に聞く
■「たかが選手が」“球界のドン”として
もう一つの顔“球界のドン”。元々は、打者が打ったらどちらに走るかさえ知らなかった人物が、読売巨人軍のオーナーとなり、プロ野球界を牛耳りました。長嶋茂雄監督の再登板からドラフトでの逆指名枠の創設、フリーエージェント制の整備に至るまで…。一方で、その権力者ぶりが反発を招いた騒動もありました。 2004年に持ち上がった「球界再編」。10球団1リーグ制への移行を支持し、プロ野球選手会と対立しました。古田選手会長がオーナー陣との直接会談を求めると…。 渡辺恒雄氏 「分をわきまえなきゃいかんよ。たかが選手が」 この発言の翌日。 渡辺恒雄氏 「今後一切しゃべらんから。選手会長とケンカさせる扇動ばかり。そういうものにひっかからんから。もうだめだよ。一切しゃべらん」 「たかが選手が」と言った後「立派な選手もいるけどね」とフォローしたものの、あとの祭り。1リーグ制は幻となりました。 球団代表を務めた山室寛之さんはこう話します。 東京読売巨人軍 山室寛之元球団代表 「『たかが選手』からガラッと雰囲気が変わるんですね。あれはやっぱりダメだと。相当なインパクトを野球選手たちは受けた。野球ファンの熱量の高まり、塊、そういうものに対しては各球団のオーナーともあまり思い至っていなかった」 巨人軍のオーナーとしての印象を聞くと…。 東京読売巨人軍 山室寛之元球団代表 「野球協約を徹底的に読み込む人。野球のゲームの面白さはあまり分かっていない。勝つことには非常にこだわる。もう1つは野球協約を徹底的に読み込む。オーナーの中で一番詳しい。野球協約の解釈は」