ファッション&ポップカルチャーに“かわいい”革命が到来 日本のアニメや漫画による影響も!?
2024年春夏トレンドのガーリー系ファッションに、昨年夏の実写版『バービー』の大ヒット。女の子向けキャラクターグッズに万バズする子猫の画像……子どもっぽい、と敬遠されたのは昔の話。今や“かわいい”は全ての人々が求める価値観だ。かわいらしさが若者だけではなく大人の女性たちの心も捉える理由について、かわいいものが昔から大好きなライターがちょっぴり真面目に考察。UK版『ELLE』より。 【写真】豪華セレブが集結! 2024春夏オートクチュール コレクションのフロントロウを総覧
6歳の誕生日の朝、私は二段ベッドで目覚めると、寝室のドアにぶら下げられたピンクのクレープ紙で包まれたプレゼントに飛びついた。中には6歳児なら誰もが夢見るようなドレスが入っていた。フリルやリボンがついていて、サッシュにふんわりした袖......それは、まさにかわいらしさの象徴だった。
問題はそれから何十回も誕生日を迎えたにも関らず、このドレスが私の理想のままだということだ。私は今では住宅ローンを抱えていて、Wordle(単語当てゲーム)をたしなむような立派な大人だが、依然としてかわいらしいものに惹きつけられてしまう。子どもの頃はサンリオのハローキティやキキララの文房具、ピンク色のものや漫画のキャラクターに夢中で、いつもそれらを持ち歩いていた。何十年たった今もそれはあまり変わっていない。好きな色はピンクで、漫画の登場人物に親近感を抱き、巨大な笑顔のヒトデやクマの模様が描かれた「オンラインセラミックス」の短パンを抵抗なく買うことができる。インスタグラムではかわいい動物の動画だけを頻繁にやりとりするメッセージグループに入っている。
自分のこの傾向について、私はこれまで久しく近しい人以外には見せないようにしてきた。だが、社会が子どもっぽいとして無視してきた“かわいい”は今日、フェミニズムの新しい解釈からTikTokで人気の#coquetteaesthetic(コケットの美学)、あるいは単純な遊び心まで、あらゆるものを代弁するものに変わりつつある。