ファッション&ポップカルチャーに“かわいい”革命が到来 日本のアニメや漫画による影響も!?
この“かわいい”ムーブメントは、セシリー・バンセン、シモーネ・ロシャ、モリー・ゴダードといった女性デザイナーたちによって、少し以前からランウェイに登場していた。彼女たちが作り出す、かわいらしい陶器の人形が着ていそうな服にはひねりが加えられ、愛らしい小さな女の子の「おさとうと/スパイスと/すてきななにもかも」(※)は、第4波フェミニズムを経験した世代向けに作り直されている。これらのデザイナーの手にかかれば、“かわいい”はポジティブな意味で破壊的に見えるのだ。 ※「おとこのこって なんでできてる?」『よりぬきマザーグース』 谷川俊太郎 訳 鷲津名都江 編 岩波少年文庫 刊
ランウェイにおける“かわいい”革命は今シーズンさらに加速した。「チョポヴァ ロウェナ」では、タトゥーを入れたさまざまなモデルたちがリボン、パフスリーブ、ピーターパンカラーがいっぱいのコレクションを着こなしていた。「アシュリー ウィリアムス」には、リボン柄のタイツやボンネットに、ベースボールキャップ、フェイスマスクを組み合わせたルックが登場。「サンディ リアン」では、私の寝室のドアにかかっていたものと似た、ガーリーなデザインのドレスに加えて、リボン、ピンク、ギンガムチェックがたくさん見られた。
“かわいい”カルチャーに魅せられるZ世代の大人たち
ポップカルチャーでもこの傾向は顕著で、実写版映画『バービー』の公開以降、“かわいい”の公式カラーとも言えるピンクは爆発的人気となり、キュートでガーリーな世界観で知られるソフィア・コッポラの『マリー・アントワネット』や『ヴァージン・スーサイズ』が再び関心を集めている。そして日本の玩具人形「ソニー エンジェル」がインターネットで大流行。ベラ・ハディッドもコレクターの一人だという。そのほか、Z世代の歌姫、オリヴィア・ロドリゴのファーストアルバム『Sour』のジャケットイメージはパステルカラーやたくさん貼られたステッカーが印象的だ。