Ken Yokoyamaが語る、90年代パンクの原風景「ライフスタイルの変化が鍵だった」
ステージ上で「必死」になる理由
―さて、前作『Indian Burn』のリリース後、どうですか。 『Indian Burn』、すごくいいアルバムができたと思ってさ。新作リリース時のツアーで新作の曲をこんな大々的にセットリストに置くことなんてこれまでなかったでしょ?っていうようなツアーをしたの。それがすごく楽しくて。 ―ライブを観て、新作からの曲がめちゃめちゃ浸透してることにびっくりしました。 それは自信を持ってライブでやってるからだと思うよ。やっぱり、ライブでやらないと曲は浸透していかないから。ライブでやるってことはバンドが胸を張って紹介できてるってことだと俺は思うんだよね。 ―ライブの変化は感じます? 少しずつお客さんが入れ替わってるのは感じるし、少し若い子が増えたかな……でも、男女比は変わんない。 ―そんな、残念そうに(笑)。 本っ当に見事に7、8割男性だからね。 ―2、3割いるなら十分じゃないですか。 ……(憮然とした表情)。でもね、ライブやってて感じるのは、同性に支持されるっていうのはものすごいことだと思うんだよ。俺はそういう光景を見るとすごく嬉しくなるのね。だって、いい年こいたおっちゃんがさ……まあ若いのもいるけどさ、ステージを見ながら泣いたりしてんだよ? 俺、こいつの人生に何を与えてんだろうとかさ、俺の中に何を見てんだろうとか思うとすげえ熱い気分になるんだよ……でもさ、ステージ降りるとすぐに冷めるんだよね。「女の子がいい」って思う(笑)。 ―あっはっはっはっ! 4月にあった立川ステージガーデンでのライブ後にも楽屋で言いましたけど、横山さんとKen Yokoyamaは今が一番カッコいいってマジで思いますよ。しかも、今後さらにカッコよくなる可能性すら感じます。 ……女の子、増えるかな? ―それは知らないですけど(笑)、ライブ後の横山さんって本当に燃え尽きてるじゃないですか。 そうなんだよね。 ―その姿を見て、ライブを観ながら感じていた、必死という言葉では足りないぐらいの切実さは本物だったんだなって。今日が最後のライブになっても後悔しないってぐらいの姿勢で臨んでるのがバシバシ伝わってきて、そこに心を揺さぶられるんですよね。 いや、俺もなんでこんなに必死になんだろうって思うよ。でも、理由はわかんないんだよね。ステージでもよく言ってるけど、いつまでやれるか本当にわかんないからさ、焦りって言葉じゃないんだけど、何かこう、ステージとか空間とか時間を惜しむような気持ちがあるんだろうな。 ―しかも、ただ必死にライブをしてるだけじゃなくて、当日に開催を発表した「突然GIG」をやったり、フェスのセットリストから敢えて定番曲を外してみたり、自分の中で楽しみを見出してもいて。 そうね、考えてみりゃ今年は頑固おやじ発揮してるよね。でも、自分が今までやってこなかったこととか、やりたくても怖くて誰もできないことに手ぇ出してみたいんだよね。自分も刺激受けたいしさ。 ―最後に聞きたいんですけど、横山さんのこれまでのキャリアは決して順風満帆だったわけではないと思うんです。とんでもない成功もたくさんあったけど、失敗もしっかりしていて。だけど今、「今の横山さんが一番カッコいい」と少なくとも俺に思わせることができてるのはなんでだと思いますか。 なんでだろうな……。(長考したあと)前よりも素直になったな。前はさ、どうしても表現があまのじゃくでさ、怒るしかなかったんだよ。最近はあんまり怒らなくなったから伝わりやすいんじゃないのかな。 ―でもそれは、「丸くなった」というのとも違いますよね。 そうね……あと、ひとつ思うのはさ、いま言ってくれたように、こういう音楽が好きな人はみんな、俺がどういう道を歩んできたか大体知ってくれてるじゃない? ハイスタでもいろいろあったし、いろんなことと戦って、いろんな発言をして。そういうのって積み重ねだし、なんつうのかな……キャリアの賜物だと思うんだよね。そういうものに男はグッときちゃうよね。人が戦ってる様とか戦ってきた道のりとかさ。男が男にグッとくるのってそういうところじゃん。いまだに悩んでいろいろと戦ってるけどさ、気分はいいんだよね。 ―うんうん。 あとは麻雀で勝てれば言うことなし。昨日、バカ負けしてさ!(笑)。 『The Golden Age Of Punk Rock』 Ken Yokoyama PIZZA OF DEATH 発売中 1. Soothing Originally performed by Satanic Surfers 2. It’s A Fact Originally performed by The Vandals 3. Stickin’ In My Eye Originally performed by NOFX 4. Too Late Originally performed by Snuff 5. International You Day Originally performed by No Use For A Name 6. I’m The One Originally performed by DESCENDENTS 7. All My Best Friends Are Metalheads Originally performed by Less Than Jake 8. You’ve Done Nothing Originally performed by Face To Face 9. Time To Grow Up Originally performed by Bodyjar 10. Roots Radical Originally performed by RANCID 11. Crazy Originally performed by ALL 12. All The Small Things Originally performed by blink-182 13. Break The Glass Originally performed by The Suicide Machines 14. 21st Century Digital Boy Originally performed by Bad Religion 15. Holiday Originally performed by The Get Up Kids 16. May16 Originally performed by Lagwagon
Daishi "DA" Ato