ドルが買われる中、ビットコインとイーサリアムは下落──米CPI発表を前に
欧州取引時間の午前中、アメリカ連邦準備理事会(FRB)の大幅な利下げの可能性に対するタカ派的な再考により、重要なインフレ指標の発表の前にドルが買われ、暗号資産(仮想通貨)市場は活気を失った。 ドル指数(DXY)は、主要な法定通貨に対するドルの為替レートを測定するもので、TradingViewによると9月30日の安値100.18から2.7%伸ばして102.97まで上昇し、8月16日以来の高値を記録した。 シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)のFedWatchツールによると、トレーダーは11月7日の連邦公開市場委員会(FOMC)でFRBが金利を0.25%引き下げる可能性を、1週間前の65%から85%に引き上げた。 市場では、9月に0.50%の利下げを実施したばかりのFRBが、年末までにさらに0.50%の利下げを実施する可能性は35%と見られていた。 10月4日に発表された非農業部門雇用者数の大幅増加により、「アメリカ例外論(U.S. exceptionalism)」が復活し、トレーダーはより速く、より大幅な金利引き下げの予想を考え直すことを余儀なくされた。 10月9日に発表された9月の連邦公開市場委員会(FOMC)議事録によると、中央銀行がどの程度積極的であるべきかについて、政策立案者の意見が分かれていた。「参加者の大半」は0.5%の金利引き下げを支持したが、一部の参加者はこれほど大幅な引き下げに懸念を示していたと議事録には記載されている。 「暗号資産に対するセンチメントは再び恐怖ゾーン(39)に戻り、株式の強欲(72)との対比を強めている」とFxProのシニアマーケットアナリストであるアレックス・クプツィケビッチ(Alex Kuptsikevich)氏は電子メールで述べた。「この動きは、ドル高と債券の魅力の増大によって説明でき、それはビットコインに対する機関投資家の牽引力を弱めることになる」。 クプツィケビッチ氏は、10月10日に発表されるアメリカのインフレ報告が予想から外れた場合、市場の変動を招く可能性があると述べた。 協定世界時(UTC)午後12時半(日本時間午後9時半)に発表される消費者物価指数(CPI)のデータは、8月の前月比0.2%、前年同月比2.5%に続き、9月は前月比0.1%、前年同月比2.3%の上昇が予想されている。FXStreetによると、食品とエネルギー価格を除外したコアCPIは前月比0.2%、前年同月比3.2%と予測されている。 予想を上回るCPIの数値は、金利引き下げの停止を求める声が強まる可能性があり、DXYの上昇モメンタムを強め、リスク回避につながる可能性がある。 しかし、INGは今週初めに、FRBの焦点が労働市場に移っていることを踏まえ、CPIが市場のポジショニングに大きな変化をもたらすことはないだろうと述べた。 |翻訳:CoinDesk JAPAN|編集:井上俊彦|画像:Shutterstock|原文:Bitcoin, Ether Nurse Losses as Dollar Strengthens Ahead of U.S. Inflation Report
CoinDesk Japan 編集部