●いじめの「重大事態」は事実確認ができなくても認定される?
こう対処しよう!
Bさんの保護者から重大事態についての訴えがあった時点で管理職に報告。 校内のいじめ防止委員会を開催し、重大事態と認定する。教育委員会に重大事態の発生を報告し、保護者にも手続面等を説明しつつ、学校又はその設置者で組織を設置し調査を行う。
重大事態とは?
さて、漫画の経過を見て、皆さんは、どう思いましたか。「重大事態? なにそれ?」「いや重大じゃないんじゃない?」と思った方が多いかもしれませんが、そんな方は要注意です。 「重大事態」というのは、単に重大な事態、という言葉ではありません。「重大事態」というのは、いじめ防止対策推進法第28条第1項に定義されている言葉になります。より正確に言えば、以下の2つのいずれかに該当する場合になります。 ①1号重大事態 まず、いじめにより当該学校に在籍する児童等の生命、心身又は財産に重大な被害が生じた疑いがあると認めるとき(以下「1号重大事態」といいます。)です。1号重大事態は、児童生徒が自殺を企図した場合や、心身に重大な傷害を負った場合の他、金品等に重大な被害を被った場合や、精神性の疾患を発症したケース等が想定されます。 ②2号重大事態 次に、いじめにより当該学校に在籍する児童等が相当の期間学校を欠席することを余儀なくされている疑いがあると認めるとき(以下「2号重大事態」といいます。)です。2号重大事態は、いわゆる不登校重大事態と言われており、「相当の期間」は、「いじめの防止等のための基本的な方針」(以下「基本方針」といいます。)p32では、不登校の定義を踏まえ、年間30日とするとされています。 そして、これらの事態に該当すると、学校又はその設置者は、組織を設け、重大事態に係る事実関係を明確にするための調査等を行わなければなりません。ただし、いずれの事態に該当するかによって参照すべきガイドラインが異なり、1号重大事態の場合は「いじめの重大事態の調査に関するガイドライン」、2号重大事態の場合は「不登校重大事態に係る調査の指針」(平成28年3月)に基づいて対応しなければなりません。特に後者の指針では前述の調査を「学校が調査に当たることを原則とする。」(p4)とされていることが特徴です。なお、現在「いじめの重大事態の調査に関するガイドライン(改訂素案)」が公表されており、両ガイドラインは統合される見込みです(2024年8月5日時点)。