【衆院選】最低賃金1500円、実現できる?……経済界でも賛否「地方が瓦解」「払えない企業はダメ」 専門家「リストラも」
日テレNEWS NNN
27日投開票の衆議院選挙では、「最低賃金1500円」が争点の1つになっています。現状でも地域差が大きく、賃上げは地方の中小企業にとって大きな負担です。1500円という水準について経済団体トップや専門家はどう受け止めているのでしょうか?
■東京と秋田では200円以上の開き
藤井貴彦キャスター 「『最低賃金1500円』。これは多くの政党が(衆議院選挙の)公約に掲げています。今年の全国平均(加重)は1055円のため、400円以上アップという魅力的な話には聞こえますが…」 小栗泉・日本テレビ解説委員長 「最低賃金というのは、最低限支払わなければいけない、法律で義務付けられた時給のことです。都道府県ごとに定められていて、今年度最も高いのが東京で1163円。神奈川の1162円、大阪の1114円と続き、最も低いのが秋田の951円でした」 藤井キャスター 「物価の違いもあるのでしょうが、東京と秋田では200円以上も違いますよね。かなり差があるのですね」 小栗委員長 「最低賃金が32位の962円で1000円を下回る島根県の丸山知事は、『(最低賃金1500円は)島根県内の企業がやすやすとできるわけがない。中小企業がつぶれかねない』と発言しています」
■せんべい店の社長からは不安の声が
小栗委員長 「実際、地方の中小企業には大きな負担です。従業員20人を抱える、茨城・筑西市のせんべい店を取材しました」 「今も工夫して賃上げをしますが、社長からは『大変大きい問題だと思います。毎年賃上げになると、毎年(商品価格を)上げざるを得なくなってくる』と、不安の声が聞かれました。原材料費やエネルギー代の高騰、賃上げまでのしかかると頭を悩ませていました」
■経済団体トップの間でも割れる意見
小栗委員長 「1500円という設定には、経済団体トップの間でも意見が割れています」 「全国の中小企業が加盟する日本商工会議所の小林会頭は『賃金を支払えなくなる中小企業が増え、地方が瓦解する危機に陥る』と苦言を呈しています。大手企業を中心に構成する経団連の十倉会長も『到底達成不可能な目標は混乱を招くだけ』と慎重な立場です」 「一方、企業経営者が個人として参加する経済同友会の新浪代表幹事は『そもそも払えない企業はダメだ。中小企業が高い賃上げ目標を掲げ、高い賃金を払える企業が生き残っていくことが、私たちの生活レベルの向上につながる』と、早期の引き上げを望む考えです」