国際刑事裁判所、イスラエルのネタニヤフ首相らに逮捕状を発行
(ブルームバーグ): 国際刑事裁判所(ICC)は、イスラエルのネタニヤフ首相およびガラント前国防相に逮捕状を発行した。ICCが発表した。この決定はイスラエルの批判を招きそうだ。
2人は少なくとも昨年10月8日から今年5月20日の間に、人道に対する罪と戦争犯罪を犯した疑い。ICCはイスラム組織ハマスの軍事部門トップ、ムハンマド・デイフ氏にも逮捕状を発行したが、イスラエルは同氏の死亡を確認したとしている。
ICCのカーン主任検察官は5月、昨年10月のハマスによるイスラエルへの攻撃、パレスチナ自治区ガザにおけるイスラエルの軍事対応にそれぞれ関連して戦争犯罪があったとして、逮捕状を請求していた。
イスラエル政府は容疑を繰り返し否認し、ハマスに対する戦争は国際法にのっとっていると主張。ハマスは米国がテロ組織に指定している。
逮捕状発行についてイスラエル首相府は「ばかげていて誤ったICCの行動と非難を拒絶する」との声明を発表し、「反イスラエル的な決定が、イスラエルの市民保護を妨げることはない」と表明した。
ICCは欠席裁判を認めていないため、ネタニヤフ氏が法廷で裁かれる公算は小さい。ただ、英国やフランス、ドイツ、カナダなどイスラエルの西側支持国の多くはICC加盟国であるため、これらの国を同氏が訪問するのは難しくなる可能性がある。
イスラエルの大きな後ろ盾となっている米国は、ICCに加盟していない。バイデン米大統領はカーン主任検察官による逮捕状請求を「言語道断」と述べていた。トランプ次期政権に指名された何人かは、逮捕状が実際に発行されるなら米国はICCを制裁すると主張しており、現政権の姿勢が次期政権にも引き継がれる公算が大きい。
ハマスが昨年10月7日にイスラエルを奇襲して約1200人を殺害し250人を連行したことを受け、両者の戦争が勃発。ハマスが支配するガザ地区の保健当局によると、イスラエルの軍事作戦でこれまでに同地区では約4万4000人が死亡した。ただ、戦闘員と民間人を区分けしてはいない。