鎌倉の土からプラスチック分解菌、「ニシカマエンシス」と名付ける…小学校の花壇で発見
プラスチックゴミ問題を解決する糸口となるか――。慶応大の研究グループが、ストローなどの原料となるポリプロピレン(PP)を分解する菌を発見した。添加剤「P―Life(ピーライフ)」を配合したPPを神奈川県鎌倉市立小学校の土に埋めて実験した。菌は「西鎌倉の土から取れた」を意味する「ニシカマエンシス」(仮称)と名付けられ、福岡市で11月28日に開催された日本分子生物学会で発表された。 【写真】スタバが脱・紙ストロー、バイオマスを使用へ
ピーライフは植物由来の添加剤で、難分解性プラスチックに配合されると微生物が分解しやすくなることはわかっていたが、分解菌は見つかっていなかった。
西鎌倉小で2022年秋、6年生が給食で使うPP製ストローをピーライフを添加したものに変更。女子児童の問題提起がきっかけとなった「地球に還(かえ)るストロープロジェクト」が始まった。
使用済みのストローは熱処理後に粉末状にされ、校庭の花壇の土に埋められた。それらを慶応大理工学部の宮本憲二教授(生物機能化学)の研究グループが分析したところ、複数の分解菌が発見された。
改めて発見した菌でストローを分解させたところ、2週間で7%程度の重量減少が見られ、宮本教授は「短期間でこれほど分解できたのは非常に画期的なこと」と説明する。県内外の土を集めた実験でも、どの土でも「ニシカマエンシス」が増えていたという。
今後、分解メカニズムを解析し、PP以外のプラスチックへの応用なども検討する。分解菌がゲノム解析などで新種と判明すれば「ニシカマエンシス」として国際機関から正式に認められる可能性もあるという。
11月25日の発表記者会見に立ち会った松尾崇市長は「地域や関係者にとって夢や希望のある話。正式に決まってくれるとうれしい」と話した。