雇用保険への加入条件が拡大される! 収入が少なくてもメリットはあるの?
雇用保険加入要件のひとつである、所定労働時間の下限を引き下げる方針が示されました。改正内容とあわせ、雇用保険の給付内容を解説します。
週10時間以上で雇用保険加入に
政府が昨年6月に閣議決定した、いわゆる「骨太の方針」の中に、「週所定労働時間20 時間未満の労働者」に対する雇用保険の適用拡大が盛り込まれていました。その労働時間の条件が、「週10時間以上」となる見通しであることが、昨年末に明らかになりました。 2022年度末までの被保険者数は約4457万人ですが、この見直しにより約488万人増加すると見込まれています。なお、さまざまな給付については、現行の被保険者と同様の給付水準となる見通しです(※1)。
見直しの背景
政府の現状認識として、生計維持の方法や働き方の多様化が進んでいることを記しています。ひとつには、女性や高齢者の労働参加が進んでいることを取り上げており、短時間勤務や切実な理由からの就業が広がっていることなどを指していると思われます。 また、コロナ禍を経てワークスタイルが多様になってきたことも挙げており、こちらは兼業・複業の容認、場所にとらわれない働き方の拡大などの変化を指すものと考えられます。 これらを踏まえて、「雇用のセーフティネットを広げる必要がある」と判断されました。なお、事業主の準備期間に配慮し、2028年度中に施行する計画となっているので、その間にさらに変化が進むかもしれません。 週10時間以上で加入なので、厚生年金や健康保険の106万円の壁(週20時間以上かつ月8万8000円以上等の条件)より先に適用されます。 例えば、1日5時間のパートを週2回、あるいは平日5日の夜だけ2時間のバイトでも対象になるので、かなり基準が下がった印象です。厚生年金や健康保険は、保険料で手取りが減るため「壁」を超えるのを避ける人が多かったのですが、雇用保険はどうなのでしょう。新しい壁の出現なのでしょうか? また、週20時間未満の就業でも、雇用保険加入にはメリットがあるのでしょうか?