強豪校1年生に喝采「さらに伸びる」 3年生から先発奪取も…「チーム崩壊」の悔やまれるミス
「僕が1日、1日をもっとしっかりとやっていたら…」
チームはそこから大きく崩れ5失点。終了間際に高屋敷は相手GKと1対1になるが、痛恨のシュートミス。終わってみれば0-5の大敗を喫した。 「マークまではついて行けていたのですが、相手がボールを持った時に、自分のスピードを過信しすぎてしまっていました。一気に前に入られて、そこからも間に合わないとなって足だけで行ってしまって、そこから独走されて失点。チームが崩壊するきっかけを作ってしまった。あの失点は焼きついています。1プレー1プレーの重み、チームを代表してピッチに立つ重みを痛感しました」 苦い経験だった。自分がレギュラーを掴んだことで、逆にその座を奪われる3年生の存在があった。高校最後の1年、しかも残りは選手権とリーグ戦3試合という状況で1年生にレギュラーを奪われる。悔しさは計り知れないが、それでも高屋敷に「俺の分まで頑張ってくれ」と応援をしてくれた。その思いや責任感を強烈に感じていたからこそ、この試合のプレーと結果に自分に対する怒りが込み上げてきた。 「1年生だからというのを言い訳にしたくなかった。僕が1日、1日をもっとしっかりとやっていたら、あそこであんな失点は許さなかった。『3年生になる頃には』ではなく、今の段階でいろいろできるようにならないといけないと思っています」 いつかじゃなくて、今。決勝戦から3週間後のプリンスリーグ関西1部の最終戦。京都サンガU-18を相手に右サイドでアップダウンする彼の姿があった。 「自分の足が速いとかそういうのではなく、過信せずにきちんと守る。最低限の守備ではなく、相手に何もさせない最高の守備を求めてやらないといけないと痛感しました。ボールを奪えても、『これでも足りない』と思いながら積み重ね続けたいと思っています」 展開を見ながらポジショニングを取り続けるだけではなく、ここぞというところは「何がなんでもうしろに通さない」という気迫を持って球際を厳しくいく。冷静さと獰猛さを併せ持って守備をして、そのうえに持ち前の攻撃力を発揮していく。自分が目指すべきプレースタイルが明確になったことで、彼は将来のビジョンを新たに描こうとしている。 「来年は自分がスタメンかスタメンじゃないかもしれませんが、やれることを精一杯やって、インハイ、選手権に出られるのであれば活躍して、勝利に貢献したいです」 謙虚さも彼の魅力。だが、自身の成長を求めることは誰にも止められない。来年こそはチームの勝利に貢献できる存在になる。これから高屋敷永輝の名前を覚えておくことに損はないだろう。
FOOTBALL ZONE編集部