「80歳で定年」は若すぎる… 投資の神様ウォーレン・バフェットがLVMHのCEOに伝えたこと(海外)
LVMHのCEOベルナール・アルノー(Bernard Arnault)氏が自身の定年を80歳に引き上げると、ウォーレン・バフェット氏はアルノー氏に手紙を書いた。 バフェット氏はアルノー氏に、定年を撤廃すべきだと提案したとブルームバーグは報じた。 93歳のバフェット氏は、優れた上司は年齢を重ねるごとに良くなっていくものだと主張した。 ベルナール・アルノー氏が2022年に自身の定年を75歳から80歳に引き上げると、ウォーレン・バフェット氏はアルノー氏に手紙を書き、もっと引き上げるべきだと説得した。 バークシャー・ハサウェイのCEOで"投資の神様"とも呼ばれるバフェット氏は「新たな定年をあれほど低く設定したのは間違いだと伝える」手紙をLVMHのCEOに書いていたとブルームバーグが先週報じた。 93歳のバフェット氏は、その正しさを証明するかもしれない。75歳のアルノー氏は、近いうちに引退するつもりはなさそうだ。「彼がやめることはないと思う」と息子の1人はブルームバーグに語っている。 バフェット氏と同じく、アルノー氏も自分の仕事を愛し、世界有数の大企業を築き上げたことを誇りとし、次の世代に引き継ぐ際にはそのレガシーと継続性を守る義務が自分にはあると感じていると伝えられている。 バフェット氏とアルノー氏には共通点が他にもたくさんある。2人とも1000億ドル(約16兆円)を超える資産を持つ世界有数の富豪で、高齢になっても上場企業を経営している。 さらに、LVMHは巨大なコングロマリット(複合企業)を築き上げ、そこには何十もの独立した子会社が存在する。ルイ・ヴィトン(Louis Vuitton)、モエ・エ・シャンドン(Moët & Chandon)、ヘネシー(Hennessy)、クリスチャン・ディオール(Christian Dior)、セフォラ(Sephora)、ティファニー(Tiffany & Co)といったブランドをLVMHは保有している。一方のバークシャーは、ガイコ(Geico)やデイリークイーン(Dairy Queen)、デュラセル(Duracell)、スクイッシュマロウズ(Squishmallows)のメーカーであるジャズウェア(Jazwares)などを保有している。 バフェット氏のファンは、同氏のアルノー氏に対するコメントを聞いても驚かないだろう。バークシャーを率いるバフェット氏の長年の持論は、優れた上司は高級ワインのようなもので、年月を重ねるごとに良くなっていくという。 「バフェット氏は、自身の取締役会に名を連ねている人や会社の経営に携わっているような質の高い人たちは、時間と経験を重ねるにつれ良くなっていくので、定年退職すべきではないと考えています」とジョージ・ワシントン大学の法学名誉教授で、著書『Berkshire Beyond Buffett: The Enduring Value of Values』でも知られるラリー・カニンガム(Larry Cunningham)氏はBusiness Insiderに語った。 実際、バークシャーの14人の取締役のうち60歳よりも若いのは1人だけで、6人は70歳を超えている。チャーリー・マンガー(Charlie Munger)氏、トム・マーフィー(Tom Murphy)氏、ウォルター・スコット(Walter Scott)氏、デビッド・"サンディ"・ゴッテスマン(David "Sandy" Gottesman)氏はいずれも90歳を超えても取締役を務めた。 バフェット氏は「自分の死はずっと先のことだとよく冗談を言っています」とカニンガム氏は話している。同氏によると、バフェット氏はバークシャーでは103歳が引退の「目安」だとCNBCに語ったことがある。ミセスBとして知られる、バフェット氏の側近の1人がこの年齢で引退したからだ。 バフェット氏はまた、969歳まで生きたとされる旧約聖書に登場するメトシェラと自分は張り合うかもしれないと冗談を言ったこともある。 「その一方で(バフェット氏は)自身の年齢について、生命表を読み、自分に残された時間は短いと分かっていると今年の会議でジョークを飛ばしました」とカニンガム氏は付け加えた。 最高齢のCEOとして記録を更新しているバフェット氏がアルノー氏に宛てた手紙は、LVMHのトップはまだまだ仕事に耐えられるとバフェット氏が考えていることを示している。
Theron Mohamed