「残された側がこんなに大変だとは…」突然、妻を亡くした夫が大慌てで家中を探し回った「ある書類」
累計188万部の大人気シリーズ『おとなの週刊現代』が大幅リニューアル!週刊現代で大反響だった記事の中から、相続や在宅介護など、「死後の手続きと生前準備」にまつわる記事を、加筆のうえ、ピックアップ。<第1部 知らないと損する死後の手続きの新常識>、<第2部 今日から始める生前準備のすべて>、<第3部 身の回りの整理整頓。人生の最期を考える>の三部構成からなる『おとなの週刊現代 2024 vol.4 死後の手続きと生前準備』 (講談社MOOK) より一部抜粋・再編集して、人生の最期で失敗しないためのノウハウをお届けする。 【マンガ】5200万円を相続した家族が青ざめた…税務署からの突然の“お知らせ” 『おとなの週刊現代 2024 vol.4 死後の手続きと生前準備』 連載第8回 『資産1億円の親が残した「1枚のメモ」がきっかけに家族内の相続トラブルとなった長男の末路』より続く
実録:妻が亡くなった後の「大混乱」の日々
「妻が亡くなったのは2年前の'22年8月19日。61歳の若さでした。妻を喪った悲しみが募るなか、とにかく大変だったのは手続きの数。怒濤のように押し寄せる手続きに混乱し、『生前に妻と話し合って準備しておけばよかった』と何度後悔したかわかりません。事前に準備をしていたら、手間と時間は半分くらいにはなったと思います」 250万部超のベストセラー『頭がいい人、悪い人の話し方』などの著書がある、作家で多摩大学名誉教授の樋口裕一さん(73歳)は、妻・紀子さんが亡くなってからの苦労をこう振り返る。 長い時間を共有してきた夫婦の一方が亡くなると、「残された側」は驚くほど多くの手続きや判断を迫られ、途方に暮れる人も少なくない。しかし、そうした苦労の実態はあまり知られていない。夫婦のうち「残された側」は、実際のところどのような苦労をしているのか。
準備の機会を逃す
樋口さんの場合、妻の紀子さんが亡くなったのは、細かな生前整理に手をつけようとした矢先のことだった。 紀子さんは、'21年4月に子宮体がんが見つかり6月に手術、一度は回復したが、翌年1月に再発が判明した。もしものときに備えて、大事な書類を共有したり、相続の方針を決めたりと、基本的な準備は進めていたものの…。 「'22年の夏、妻の保険の契約状況を確認するために担当者にアポを取ったのですが、そのアポの日の前日に妻の容体が悪化し、病院に搬送されました。結局アポは延期。そうこうしているうちに妻はホスピスに入り、亡くなりました。 そもそもうちは妻が10歳年下だったので、私のほうが先に死ぬと思っていましたし、妻のがんが悪化したあとももう数ヵ月は大丈夫だろうと思っていた。そうしたらある日突然動けなくなって、もう帰ってこなかった。そのうちやろうと思っていたら、最終的な準備の機会を逃しました」