坂井真紀、かつての愛車について語る “ヴァンプラ”との思い出とは?
愛車を見せてもらえば、その人の人生が見えてくる。気になる人のクルマに隠されたエピソードをたずねるシリーズ第60回。前編では、俳優の坂井真紀さんが、かつて乗っていたビンテージのイギリス車と約20年ぶりに再会した! 【写真を見る】坂井真紀とかつての愛車(13枚)
「よし、これに乗るために免許を取ろう!」
「うわぁ、懐かしい……。20数年ぶりなんです、“ヴァンプラ”を間近で見るのは。やっぱりデザインといい、色といい、内装の感じといい、今見てもすべてが素敵です」 ヴァンデン・プラ「プリンセス1300」、通称“ヴァンプラ”と対面した俳優の坂井真紀さんは、内装を入念にチェックしながら、「私の“ヴァンプラ”はブリティッシュレーシンググリーンだったんですよ」と、つぶやいた。 坂井さんが20歳代半ばで運転免許を取得して、初めて乗ったクルマが“ヴァンプラ”だったのだという。坂井さんが20歳代半ばということは、1990年代の真ん中あたり。“ヴァンプラ”は1974年まで生産されたモデルだから、その時点ですでにちょっと古いクルマだった。 90年代に坂井さんが“ヴァンプラ”に乗っていたというのは少し意外です、と、伝えると、「実は、“ヴァンプラ”に乗るために運転免許を取得したという経緯があるんです」と、坂井さんは振り返った。 「イギリス人って気に入ったモノを長く使うじゃないですか? 私は古いモノを大切にしながら使い続けるイギリスのカルチャーが好きで、古い英国車に憧れがありました。あるとき、雑誌かなにかの記事で、“ヴァンプラ”を見て、『これがかわいい!』と、思ったんです。いろいろと調べてみると、ロールス・ロイスにお乗りになるような方のセカンドカーという位置づけで、『よし、これに乗るために免許を取ろう!』と、心に決めました。教習所の教官が怖い、という話も聞きましたが、私は、有難いことに問題なく、スムーズに免許をいただきました」 坂井さんはオートバイレーサーのバレンティーノ・ロッシの大ファンで、単身、スペインまでMOTO GPの観戦に出かけたこともあるという。つまり一度気に入って、やると決めたら貫く人なのだ。 ここで、手短にヴァンデン・プラ プリンセスというクルマを紹介したい。 イギリスでは、1959年にオリジナル・ミニがデビューしている。このクルマは「ADO15」というコードネームでも呼ばれた。そして1963 年、ADO15の兄貴分という位置づけで、サイズを拡大したADO16がデビューした。このADO16の最高級版がヴァンデン・プラ・プリンセスだ。 普段、ロールス・ロイスに乗るような、やんごとない方々も、混雑したロンドン市内を移動するにはコンパクトカーのほうが、小回りが効いて都合がいい……そこで、小さな高級車として“ヴァンプラ”が開発されたのだ。 1963年に排気量1098ccの直列4気筒OHVエンジンを搭載して発表され、さらに1967年にはエンジン排気量を1275ccに拡大、ヴァンデン・プラ プリンセス1300として1974年まで生産された。