坂井真紀、かつての愛車について語る “ヴァンプラ”との思い出とは?
古いクルマに乗る醍醐味を知る
それにしても、坂井さんが免許を取得した1990年代半ばに、程度のいい“ヴァンプラ”を探すのには苦労したのではないだろうか。 「当時、私はラジオ番組を持っていて、放送作家に小山薫堂さんが付いてくださっていました。薫堂さんに、『ヴァンプラに乗りたいんです』と、相談したところ『いい人を知っていますよ』ということで、トントン拍子でグリーンのヴァンプラが見つかったんです。はじめて“ヴァンプラ”に乗ったときは、教習所のクルマと違ってガタガタすると思ったんですが、やがてそのダイレクトなフィーリングが“乗っている感”につながって、相棒のように思うようになりました」 免許を取り、“ヴァンプラ”と暮らすようになってから、坂井さんの生活スタイルには変化はあったのだろうか。 「仕事には“ヴァンプラ”を使わないと決めていて、あくまでプライベートの趣味のクルマとして乗っていました。買い物に行ったり、友だちと食事に行ったり、行動範囲が広がって嬉しかったですね。周囲からもかわいいと評判でしたし、後ろの席の友人にピクニックテーブルを自慢したり……お話をしていると、楽しい思い出がよみがえってきます」 故障やトラブルで困ったことはありませんでしたか、という質問には、「もちろんありました」と大きな笑顔を見せた。 「当時は東京の郊外に髪をカットしに行っていたんですが、周囲に何もないような場所でいきなり止まって、すごく不安な思いをしたことがあります。やっぱり電気系統が弱いようで、そこそこトラブルはありました。でも薫堂さんをはじめ、古いクルマに詳しい皆さんからは、『そういうこともセットで楽しまないといけない』と、言われていたので、『そういうものなんだ』、『これも古いクルマに乗る醍醐味なんだ』と、自分に言い聞かせていました。だから多少の故障があるからといって乗り換えようとは夢にも思いませんでした」 ここでもう一度、坂井さんはヴァンプラの周囲をぐるぐると回って、内外装をチェックした。そして撮影に協力してくれた、このヴァンプラを扱っているガレージ日英の白鳥滋晴社長に質問を重ねた。特に、「まだ程度のいい個体は残っていますか?」と、訊いていたのが印象に残った。 結局、坂井さんは5年以上にわたってヴァンデン・プラ プリンセス1300とのクルマ生活を楽しんだ。 後編となる次回は、ヴァンプラとの別れと、新しいクルマ生活について語ってもらう。
【プロフィール】坂井真紀(さかいまき)
5月17日生まれ。東京都出身。1992年ドラマ『90日間・トテナム・パブ』で俳優デビュー。以降、CM、ドラマ、映画、舞台で幅広く活躍。2008年、映画『実録・連合赤軍 あさま山荘への道程』で第18回日本映画批評家大賞助演女優賞、第23回高崎映画祭特別賞を受賞。2025年1月12日(日)よる10時30分スタートの「ホットスポット」(日本テレビ系列)に出演する。 文・サトータケシ 写真・安井宏充(Weekend.) ヘア&メイク・星野加奈子 スタイリング・間山雄紀(M0) 編集・稲垣邦康(GQ) 車両協力・ガレージ日英