高速夜行バスの低価格競争は終焉?「高級化」の動き相次ぐ
●価格競争で疲弊
規制緩和によって高速ツアーバスへの新規参入が増加し、最も需要が大きい東京~大阪間では特に競争が激化した。2012年に関越自動車道で乗客7人が死亡する事故が発生したことで規制が強化されたものの、バス業界全体をみると2016年1月の軽井沢スキーバス事故など悲惨な事故が後を絶たない。「こぞって値段競争をしたのが業界の実態。いろんな事故でイメージを下げている。」(両備ホールディングス松田敏之副社長)と先行きを懸念し、「業界イメージの向上、担い手が集まってくる努力をしたい。」(同)と期待を示した。 高級バスの成功によって高速バスそのもののイメージアップにつながり、良い人材が集まるようになれば、業界全体の発展が見込める。2万円という高価格バスは果たして成功することができるのだろうか。価格競争に疲弊した業界に一石を投じる、業界全体の今後を占う試金石となるだろう。
---------------------------------- ■後藤卓也(ごとうたくや) 旅行情報メディア「Traicy(トライシー)」編集長、1989年生まれ。航空や鉄道、バス、格安旅行、航空券、マイルの取材を得意とする。LCCを中心に年間100搭乗。トライシー・サイト