シーズン到来! 今年の上海蟹はワインと一緒にペアリングが正解
金目鯛の広東蒸し✕日本の赤ワイン
秋の上海蟹コースの魚料理として出されているのが「金目鯛の広東蒸し」。広東料理では伝統的にハタやタイをシンプルに調理した鮮魚の蒸し物があるが、これを金目鯛でアレンジ。「金目鯛は秋から冬にかけておいしくなる食材です。それを広東の技法で蒸した後、日本の“金目鯛の煮付け”のエッセンスを加えて醤油ベースのソースで仕上げています」と皆川さん。
ソースは醤油がベースながら、さまざまな調味料が仕込んであり、エキゾチックな味わい。広東料理の素材の味を引き立てる上品な蒸し方とあいまって、豪快な日本の金目鯛の煮付けとは異なる繊細な一皿が堪能できる。
金目鯛の広東蒸しのペアリングは、日本のマスカット・ベーリーA主体の赤ワイン。「こちらの赤ワインには山梨と山形のブドウが使われています。醤油ベースの味付けで脂身が強い金目鯛なので、白ワインではなく赤ワインと合わせました。日本の赤ワインは鉄分が少ないので魚を生臭く感じにくいんです。マスカット・ベーリーAの華やかなキャンディ香が糸唐辛子の風味とも合います」と永冶さんが解説してくれた。
三元豚の黒酢ソース和え✕微発泡赤ワイン
秋の上海蟹コースの肉料理は「三元豚の特製辛味黒酢ソース和え」。豚肉の唐揚げに黒酢ベースのソースというと酢豚のようだが、ソースが技あり!「実は、修行したザ・ペニンシュラ香港のレストランの特製ソースがベースになっています。黒酢は入っていますが、りんごや大根のすりおろし、はちみつも入っているので、一緒に出す蒸し野菜につけて召し上がってみてください」と皆川さん。
三元豚の特製辛味黒酢ソース和えのペアリングはイタリアの微発泡赤ワインの辛口ランブルスコ。「今回のペアリングは肉料理に黒酢のソースを合わせているつながりで、バルサミコの産地であるエミリア・ロマーニャ州のランブルスコを合わせました。ソースの奥のしびれのある辛みと微発泡の刺激が心地よくマッチします」と永冶さん。東西の黒酢のルーツの土地を探る興味深いペアリングでありながら、味わい的にも微発泡がよいアクセントになっていた。