ソフトバンク戦力外→きくらげ農家に“ビックリ転身”「福岡の給食に採用」…千賀滉大・柳田悠岐ら“同期会ウラ話”「ギータさんが名前入りTシャツを」
支配下に柳田悠岐、育成に千賀滉大(メッツ)や甲斐拓也(巨人)がいるソフトバンク2011年入団組。球団史上最高のドラフトとも呼ばれるこの代で、育成2位が中原大樹だった。現在はきくらげ農家を経営する中原が明かした今、そして「ドラフト同期への本音」。【全2回の2回目】 【この記事の写真】「すごすぎる…ソフトバンク“史上最高のドラフト”誰がいた?」「2014年戦力外→現在はきくらげ農家に…育成2位・中原さんの選手時代&現在」一気に見る ◆◆◆ 引退翌年の2月から、大手引越会社で正社員として働き始めた。仕事もすぐに覚え、2年目に現場責任者となった。野球好きの同僚や客に気づかれることもあった。「どうしても戦力外の話になるので気まずい雰囲気になることもありました」
脱サラして「きくらげ農家」に
仕事への充実感はあった。プロ野球選手では果たせなかった“昇格”を果たし、その後は現場副班長、そして6年目には主任の一歩手前のところまで行っていたという。ただ、勤務時間が不規則で、さらに体力自慢の中原であっても毎日へとへとになってしまい、休日はあっても疲労が溜まりすぎて家族と向き合う余裕がまるでなかった。 「これじゃいけないと考えていたタイミングで、義父がきくらげの栽培を始めようとしていて。行政なども若い農業の担い手を欲しがっているという話も知って、ならばと思い立ったところからトントン拍子で話が進んでいきました」 脱サラを決め、義父と妻とも力を合わせ、2020年から日本では非常に珍しいきくらげ専門の農家としてのキャリアをスタートさせたのだった。 「きくらげってラーメンや中華料理の脇役ってイメージじゃないですか。でも、メインでも美味しい食材ですし、なにより栄養価がもの凄く高いんです。やはり作るのならば、身体に良いものにしたかったですから」
給食の食材に採用されていた
一般的に流通しているきくらげの大半は海外輸入品だ。国産はわずか約5%しかない。その希少性に目をつけたのが始めた理由の一つだったし、温度と湿度の管理さえしっかりすれば早いサイクルで生えてくるため、農業初心者でも比較的育てやすいという利点もあると聞いたことが大きな理由だった。 しかも、我々がスーパーなどで見かけるきくらげといえば、乾燥して細切りにされているものだが、国産ならば輸入品では不可能な「生きくらげ」も取り扱える。加えて中原が育てるきくらげは、国内のほかの農家に比べても肉厚で、色も黒く輝いていて、とにかく希少性の高いものだという。 しかし、どの世界でもプロで飯を食うのに容易い道などあるはずがない。 農業を始めた最初の冬は薪ストーブを用いて温度管理を行っていたために家族が順番でビニールハウスの横のプレハブで泊まり込んだこともあった。ただ、そんな努力をしても事業がすぐに軌道に乗るわけではなく、無給状態で働いた時期もあったという。貯金を切り崩しての生活。ただ、元プロ野球選手だったとはいえ、育成選手のため年俸は高くない。入団時の契約金もない。300万円の支度金はもらっていたものの、高校の奨学金返済に充てていたためにこの頃には残っていなかった。 「最初の頃は家族喧嘩が絶えませんでした。引っ越し業者時代は疲れ果ててワガママを言っても一度も喧嘩にならなかったのに、やっぱり一緒に仕事をするとなると考えをぶつけ合ったり。それだけ真剣に向き合っていたからとも言えますけど」 そんな中で大きな転機が訪れる。福岡市の学校給食に採用されることになったのだ。福岡では地産地消が推奨されていたが、きくらげについては県内に一定量を安定納入できる農家がなかったため他県のものを使用していたという。義父が知り合いの伝でそれを聞きつけ売り込みをかけたところ見事指名を受けることになったというわけだ。以降、堅実に取引先を増やした。現在は青果の卸売業者ともパイプができて県内のスーパーに商品を並べられるようにもなっている。
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