コロナ禍がもたらした経営環境の変化…休廃業のさらなる増加が見込まれる中、中小企業が「事業承継」においてとるべき対応とは?【公認会計士が徹底解説】
事業譲渡の際に活用すべき制度
中小企業庁の「経営資源引継ぎ補助金」を活用してほしい。M&AアドバイザーやM&A仲介業者に支払うコストが、200万円まで補助される。 事業譲渡した直後に廃業するのであれば、廃業費用が450万円補助されるので、合計して650万円の補助金が支給される。ぜひ活用したい。詳しくは、中小企業庁のページを参照していただきたい。 ※1 経済産業省からIT補助金が提供されているが、中小企業の経営革新を生み出すほど効果の高いIT技術を導入するに足る十分な金額ではない。 ※2 経営効率化は、M&Aによって生じる代表的なシナジー効果である。 ※3 平成28年12月 中小企業庁が公表した「事業承継ガイドライン」 ※4 非事業性資産とは、現金預金や有価証券、生命保険契約などの金融資産、投資用不動産などである。 ※5 多くの中小企業は債務超過に陥っており、その負担の重さために後継者が見つからず、廃業をもたらしてしまう。しかし、このような法人(会社)のすべてが、金融機関との交渉や私的整理、法的整理などの債務カットを必要とするわけではない。事業承継問題に至る老舗企業は、過去に黒字を謳歌した時期があったはずで、経営者は豪邸に住んで十分な個人財産を持っているケースが多い。結局は、経営者が個人財産を投じて、法人(会社)が抱える借入金を責任持って返済しなければいけない。 ※6 顧客関係の承継は特に重要である。B to Cの事業であれば商圏分析を行った上で顧客データベースを移すこと(個人情報保護法に注意)、B to Bの事業であれば、先代経営者と後継者が一緒に顧客へ個別訪問に回ることが必要となる。 岸田 康雄 公認会計士/税理士/行政書士/宅地建物取引士/中小企業診断士/1級ファイナンシャル・プランニング技能士/国際公認投資アナリスト(日本証券アナリスト協会認定)
岸田 康雄