<ふれる。>長井龍雪監督×田中将賀対談(2) ファンタジーへの挑戦 岡田麿里と3人の“ふれる”関係性
田中さん このチームは、ある意味、妥協できない環境なんですよね。長井さんの中の「こういう感じ」というふわっとしたものに対して、僕や岡田さんが「長井はこういうことを考えているに違いない」と案を出して、「そうじゃない」「いやそうだ」というのを繰り返すのが、毎度の作り方なんです。お互い長い付き合いでプライベートも知っている仕事仲間プラス友達という関係値があるが故の信頼関係というか。「こいつのことは俺たちが一番分かっているんだぞ」みたいなプライドもない交ぜになって妥協できない感じが、最終的にはいい方向に働いているんですよね。だから、作りやすそうで作りにくいし、でも作りやすい、みたいな。
--“ふれる”の力で主人公3人がつながっているように、長井監督ら3人もお互いの考えていることが分かるような?
長井監督 そうですね。
田中さん 「ふれる。」が完成した後に岡田さんと話していたのですが、「私たちも“リアルふれる感”がすごい」と(笑)。主人公3人のせりふもリアルで使えそうな感じというか、不思議な感じがしますね。僕らのお互いのことを話しているのに、なぜか「ふれる。」のお話とシンクロしている感じって、今までの作品ではあまりなかったような気がするので。コミュニケーションという直球のテーマでもあるので、余計にそう思うのかもしれないですが。
--3人でアニメを制作する現場と、「ふれる。」に流れるテーマがリンクするような。
長井監督 最終的にそうなっちゃいましたね。
田中さん 意図してそうしたとか、図ってそうしたということは全くないと思うのですが、そう感じますね。
長井監督、田中さん、岡田さんの3人のさまざまな挑戦が詰まった「ふれる。」。見る人の心に“ふれる”ところがきっとあるはずだ。