<ふれる。>長井龍雪監督×田中将賀対談(2) ファンタジーへの挑戦 岡田麿里と3人の“ふれる”関係性
田中さん ファンタジーの要素としては、これまでの作品でもすごく振り切ろうとして、結局振り切れずにいた。では、その塩梅をどこに落ち着けるのか?と。今回は、全体の打ち合わせでも、そこに難儀した印象なんですよね。それこそ“ふれる”の能力も、どこまでのものにするのか? すごすぎても、てんやわんやになってしまう。結局、ファンタジーの部分がありつつも、最終的に主人公3人のリアルな部分に話が落ち着くのは何となく分かっていたので、あとはどう納得していくか?という話し合いをひたすら繰り返していたなと思います。最終的に僕らが作るファンタジー作品は、これくらいの強度なんだということが、今回よく分かったなという気はしているんです。
--軸足はリアルのほうに置くと?
田中さん そうですね。東京の高田馬場でリアルな20歳の男の子の話が主軸にある以上、そこが壊れるほどのものは、ただのノイズにしかならないんじゃないかなと。だからこそ、“ふれる”を形作っていく時も、相当自分の中ではビビっていました。“ふれる”の存在が浮かないかな? 大丈夫かな?と。その塩梅が難しくはあったのですが、最初の案でOKになっちゃって。僕がその後で散々ごねて、ほかの案も出したのですが、全部却下されて「これでいい」と(笑)。
長井監督 よかったんです。
◇3人だからこそ妥協できない 関係性とリンクする「ふれる。」
--東京が舞台、青年3人が主人公、“ふれる”の存在と、「ふれる。」は新たなチャレンジも多い作品になりました。「ふれる。」を経て感じる、長井監督、岡田さん、田中さんの3人のチームの魅力は?
長井監督 僕は2人に甘えちゃっている感じになっていますね。岡田さんの脚本に関しても、やりたいニュアンスを伝えて、それに応えてもらって、コンテを描いて。それから、田中さんに「こんな芝居にしたい」とニュアンスだけ伝えて田中さんが組んでくれてという。