<ふれる。>長井龍雪監督×田中将賀対談(2) ファンタジーへの挑戦 岡田麿里と3人の“ふれる”関係性
インタビュー(1)の続き 「あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。(あの花)」「心が叫びたがってるんだ。(ここさけ)」「空の青さを知る人よ(空青)」。秩父を舞台にした青春3部作を手掛けたクリエーター3人の最新作となるオリジナル劇場版アニメ「ふれる。」が公開中だ。青春3部作と同じく長井龍雪さんが監督、岡田麿里さんが脚本、田中将賀さんがキャラクターデザイン・総作画監督を務め、チームが再結集した。東京・高田馬場を舞台に、不思議な生き物“ふれる”と暮らす青年3人の友情が描かれる本作は、秩父を舞台に思春期の少年、少女たちを描いてきた青春3部作を経た「チャレンジングな作品」だという。長井監督、田中さんに制作の裏側について聞いた。 【写真特集】話題作「ふれる。」 青年3人の幼なじみが手を触れあい 可愛い!キャラも 名場面を一挙に
◇リアルに軸足を置いたファンタジー
--「ふれる。」では、人と人との心をつなぐ“ふれる”という不思議な生き物を通して、絆が描かれます。離れていても心がつながっているという意味では、昨今のSNSに通ずる印象があります。
長井監督 関係性を作る上で、不思議な力という案は最初からあったのですが、打ち合わせ段階でコロナ禍があって、後からそうしたテーマをすごく考えました。打ち合わせを重ねるごとに、Xのマシュマロ機能などがイメージに入ってきて、物語のテーマにもどんどんスライドしていったのかなと思います。
田中さん 確かにそうでしたね。シナリオでもSNSと対比するようなせりふが出てくるので、「はっきり断定するんだな」と思いました。
長井監督 僕がSNSを全くやらないので、むしろちゃんと言わないと、僕自身がよく分からなくなってしまうという部分もあったんです。
--不思議な生き物“ふれる”が登場するなど、「ふれる。」はファンタジーの要素もある作品です。
長井監督 「映画っぽいものをやりたい」とは常に思っていて、そういう意味で、にぎやかしの要素というか、画面を派手にする要素、映画として盛り上がる要素として、どんどん積み重ねていってもらって、この形になりました。逆に言うと、僕のほうから派手にする要素として、ファンタジーをオーダーした部分もありました。