「箱庭療法と脳トレで効果得られやすい」 認知機能の低下防ぐスマホのゲームアプリを新たな収益の柱へ育成
ソフトウエア開発のズー(上田市)が、認知機能の低下を防ぐスマートフォン向けゲームアプリ「夢庭(ゆめにわ)」を開発し、ヘルスケア分野への事業拡大を図っている。スマホの操作に慣れた高齢者が増える中、認知症予防に役立つアプリの需要は高まると展望。ヘルスケア事業を新たな収益の柱に育てるべく、市場を開拓していく方針だ。 【表】認知症のサイン、変化に注意したいポイントは?
夢庭は、画面内の平野に建物や花などを置き、自分だけの世界を表現する箱庭づくりのゲーム。「ファミリア」と呼ばれる動物のキャラクターを育てることで、より魅力的な箱庭をつくれる。ファミリアの育成には、神経衰弱や旗揚げなどのミニゲームをこなす必要があり、楽しみながら自然に「脳トレ」に取り組める仕組みだ。
昨年4月、ゲームコンサルティングのクラフトリンク(東京)と共同開発に着手。脳トレの研究で知られる公立諏訪東京理科大(茅野市)の篠原菊紀教授に技術指導を依頼した。篠原教授は、脳の前頭前野の活性化により効果が出るようミニゲームの内容を助言。「箱庭療法と脳トレが結びつき、効果が得られやすい」と話す。
アプリは課金制だが無料でも遊べる。利用者のログインを家族に知らせる見守り機能を付け、今年3月に配信を開始した。高齢者とその家族などの利用を想定し、まずはユーザー1万人を目指す。
ズーは調剤薬局向けシステムと、ゲームの開発が事業の柱。これまで200作品以上のゲームを発売してきたが、ヘルスケア分野のアプリは今回が初めてとなる。藤井修亮社長は、高齢化が急速に進む中で、同分野に参入する社会的意義は大きいと展望。「医療とゲームの2本柱とともに、ヘルスケア事業を柱に育てていきたい」と話した。