世界トップの練習伝授 冨安健洋が後輩へ技術以上に伝えてくれるもの【アビスパ福岡アカデミー密着④】
J1アビスパ福岡のU―18(18歳以下)が高校生年代のリーグ戦「プリンスリーグ九州」で2位以内を確定させ、全国最高峰のリーグ「高円宮杯U―18プレミアリーグ」への参入を懸けたプレーオフ(12月予定)に参戦する。来季トップチームに昇格するFWサニブラウン・ハナン(18)とFW前田一翔(18)らを育てたアカデミー(育成組織)の強化には、OBの冨安健洋(アーセナル)も力を入れてきた。(末継智章) ■ミニのワンピ、女性警察官風衣装も…ハロウィン仕様コスチュームでチアが舞う【写真】 ◆ ◆ 6月25、26日の両日。イングランド・プレミアリーグのオフだった冨安は、福岡市の雁の巣レクリエーションセンターにいた。福岡U―14(14歳以下)からU―16(16歳以下)までの選手38人に実技指導するためだった。アーセナルで実際に行っている練習も含め、井上孝浩アカデミーダイレクターらとメニューを数カ月にわたって考案。座学も行い、世界トップレベルの技と経験を伝えた。 冨安は2022年にも前田ら後輩たちを指導。「ここから自分を超えるような選手が出てきてほしい」と語っていた。「やっているメニューが高度なので、子どもたちには分からないかもしれない。でも僕ら指導者には勉強になるし、アカデミーの選手に落とし込めれば還元できる。何より世界基準の練習ができるのはありがたいし、よりサッカーを深く知りたいという探求心にもつながっている」。U―18の久永辰徳監督は冨安がもたらす効果をこう捉える。 ◆ ◆ 冨安と直に接する機会は、技術以上のものをもたらしてくれている。井上アカデミーダイレクターは「目標を達成しようとする意欲を強くし、そのためにどういう努力をしないといけないのか。その思考力に働きかけてくれている」と感謝する。冨安自身、アカデミー時代から自ら課題を見つけ、そのために必要なトレーニングも考えてきた。トップチーム昇格後、チームのJ2降格が決まった2016年オフには「もっと体重を増やしてフィジカルを強くしないといけない」と、自らメニューを考えて筋力トレーニングに打ち込んだ。