世界トップの練習伝授 冨安健洋が後輩へ技術以上に伝えてくれるもの【アビスパ福岡アカデミー密着④】
「自分に何ができ、できていないか」
「指導者から言われて気付くのではなく、自分に何ができ、できていないか。どんな練習をしたらいいか。自己分析の精度が高く、すべて合っている。それをクリアするスピードも速かった」。井上アカデミーダイレクターはこう思い返す。 アビスパのアカデミーが重視する個々の育成計画「IDP(Individual Development Plan)」では、選手とコーチが何度も個人面談し、選手自信が目標設定や自己分析をする。その上で必要なトレーニングも自ら考え、コーチがアドバイスをする。 トップチーム昇格を決めた前田には明確な目標がある。「今、トップスピードが時速33~34キロ。J1には35キロがいると聞いているので、体を改善してもっと足を速くしたい」。1年目からJ1で活躍するための道のりを思い描いている。
第2の冨安健洋を
第2の冨安健洋を―。自らも目指し、周囲の期待も高いこの目標を、久永監督は「ハードルは高い。特に彼は人間力が高いので」と認識している。「ただ、高校生はうまくなりたい、勝ちたいというエネルギーがすごい。そこを引き出したい」。指導者を含むアカデミー全体が、ハードルを越えようと向上心を持ち続ける。 その一環で、アビスパは他クラブにノウハウを惜しげもなく伝えている。そこには福岡市民なら誰もが知るであろう、ある主要スポンサーに伝わる逸話と共通した思いがある。(後日掲載の⑤に続く)
西日本新聞社