ビジネス力を鍛える本の読み方とは?忙しい人におすすめの正しい読書術
忙しいビジネスパーソンにおすすめの「本とのつき合い方」5つ
本の読み方の次に、ビジネスパーソンにとってプラスになる本の選び方とつき合い方について、私が考える5つのコツをご紹介しましょう。 ◆1. 自分が一番興味のある領域から読書を広げる これから本を読む習慣をつけたい人は、シンプルに、今一番興味があるジャンルの本から読むことをおすすめします。人が知的好奇心でワクワクしているときは、脳内にドーパミンなどの神経伝達物質が出て、思考力や記憶力がグンと上がると言われるからです。まずは面白そうだと思う本を1冊読めば、周辺領域にも自然に興味の輪が広がっていくでしょう。 好きなジャンルから1冊を選ぶときは、書店や有識者のおすすめ、世の中の評価を参考にするのも一案です。世間で評判の良い本は売れるだけの理由があるからです。本の要約サービスである「flier」も、著者が伝えたいことがコンパクトにまとまっているので、本を選ぶツールとして有効活用できるでしょう。 大人の読書は「学校の宿題」などではなく、人生を豊かにする楽しみのひとつ。まずは読書の楽しさを覚えることを優先して選んでください。 ◆2. 本を読む時間を決めて習慣にしてしまう 人はある日突然に変わることはできません。人を変えるのは「習慣」をおいてほかにはなく、まさに読書も習慣化することがとても大切です。まずは「朝の1時間」「寝る前に1時間」など、生活リズムに合わせて時間を押さえ、自分が読みたい本を毎日開いてみましょう。就寝前に寝床に入ったときや、通勤時などのすき間時間は、耳で読める音声コンテンツを活用してもいいでしょう。 習慣は最初の3週間ほどを越えると、割と苦もなく定着することが多いものです。そのまま半年、1年と楽しく続けることができれば、きっと人生の背中を押してくれる効果が期待できるでしょう。あらゆる習慣の中でも、読書の習慣は最も優先していいもののひとつだと思います。 ◆3. 気になったらアクションで記憶に定着させる 本の中で気になった部分があったときは、すぐに何らかのアクションを起こしましょう。例えば付せんを貼っても、線を引いても、思ったことを書き込んでもOK。自分のやりやすい方法を選んでください。私の場合は、手っ取り早くページの隅を折り、特に印象的な部分は2重に折るのが習慣になっています。すると、次にその本を開いたとき、印象に残った箇所をパッと見つけることができます。 この行動はしおりの意味合いもありますが、それ以上に、脳を活性化させる効果を期待するものです。脳の「思考」と「運動」を司る部分は密接に結びついているため、手を動かすことで脳が多面的に働き、記憶に残りやすくなるのです。本は、知識や経験を自分のモノにするためのツールなので、どんどん線を引いたり汚したりしてもいいと思います。 ◆4. 読んだ数ではなく考えた量が重要 読書のスピードは人それぞれですが、「月に○冊」と冊数を目標にすることはあまり意味がありません。読書の目的が知見を広げることや思考力を鍛えることだとすれば、「考え事をした量」が最も大切だからです。たとえ1時間で5ページしか進まなくても、その間に「この本は人生に影響しそう」とか「別の本には違うことが書いてあったな」などと考えを巡らしていれば、それはとても貴重な時間です。 読書の醍醐味のひとつに「知と知が繋がった瞬間」があります。「あの経験はこの本のこれのことだったのか!」と気づいたときや、複数の本から共通する事象が3つ、4つと見つかり、自分の中に新たな概念が浮かんだときなどは、とても興奮するものです。そんな喜びを味わうためにも、読書中はどんどん寄り道や脱線をして構いません。 ◆5. アウトプットを意識しなくても学びは蓄積する 前提として、本で学んだことを何かの形でアウトプットするのはとても良いことです。読書メモを書く、人に内容を話す、SNSで発信するなどは、学びを定着させるための素晴らしい習慣です。さらに、ビジネス書などのノウハウを翌日の仕事にすぐ生かせれば、それは最も有効なアウトプットとなるでしょう。 一方で、本は100冊、200冊と読んでいくことにより、人生のあらゆることに応用がきく、判断や行動の拠り所が無意識に蓄積されていきます。一字一句を憶えてなくても、頭の奥底に引き出しが整備されていき、あるとき「ヒラメキ」という形で姿を現すことがあります。 ですから直後のアウトプットは必須ではありませんし、内容を忘れて「読んだのは無駄だった」と残念がることもありません。読んだ本はすでに、あなたの価値観や思考をつくるひとつの要素になっているからです。