自家製調味料×良質素材=旨み倍増! イタリアン百名店が“発酵”をテーマにした新店をオープン
先に述べたもののほかにも、バーニャカウダに添える肉味噌、炭に埋めて焼くキャベツに塗るパン味噌にパン醤油まで、まさに発酵尽くしと言っても過言ではないほどだ。「発酵は奥が深い。気温や湿度によっても状態が変わりますから。でも、そこがまた面白いところ。調味料的な使い方ができるところも発酵食品の魅力ですね」と江口シェフ。
味噌作りばかりが発酵ではない。写真上の金目鯛のカルトッチョには、アサリだしにミニトマトやタイム、炭火焼きにした長ネギ加え発酵白菜をプラス。コハク酸特有の酸味や苦味を僅かに含んだアサリだしの旨みに発酵白菜の柔らかな酸味が寄り添うように合わさり、抑揚豊かな味わいを舌に残す。
白身ながら脂ののった金目鯛との相性も上々だ。また、切身ではなく、魚を丸ごと一尾使うことにもこだわっている江口シェフ。「確かに切身の方が食べやすいけれと、ダイナミックなおいしさで言えばやはり一尾丸ごとに軍配があがる。骨付きの方がいい味が出るんですよ」と江口シェフ。食べる際には、サービスの方が食べやすくさばいてくれるから心配は無用だ。
ちなみに、メニューは基本的にアラカルトのみ。発酵していないピザ生地のようなピアディーナで巻いて食べる、先のマグロの脳天とピスタチオ味噌のタルタルなどの冷たい前菜から、ポルケッタ味噌でいただく「イタリアっぽい風呂吹き大根」といった温かい前菜、そして黒にんにくソースを添えた「島根県イノシシ肩ロースの“燻焼き”黒ニンニクソース」等々のメインまで豊富にそろうラインアップから、その日の気分で好きにオーダーできる使い勝手の良さも大きな魅力。
土曜祝日は13時から営業しているそうで、昼飲みもOK。軽くつまんで一杯やって、パスタで締めなんていう楽しみ方も、カウンター席のみのこの店なら気兼ねない。そのパスタも「自家製塩辛のイカ墨スパゲッティ」や「燻製の香りのカルボナーラ」と、いずれもさりげなく一捻り加えたものばかり。