ホンダ「0」ならNSXもS2000も味わえる!? クルマのデジタル化はここまできてる!!
クルマの進化はソフトウェアの進化でもある
2026年より世界各国で市販化予定の新たなBEV「Honda 0(ホンダ・ゼロ)」シリーズは、「Thin, Light, and Wise(薄い、軽い、賢い)」を開発アプローチとして掲げ、専用開発の新たなアーキテクチャーを採用する計画となっている。 【画像】NSXタイプRもS2000もシビックタイプRも再現! ホンダが開発中のサウンドエンハンサーを含むデジタルUX 10月初旬に四輪/BEV開発センター栃木および隣接する四輪生産本部で開催された「Honda 0 Tech MTG 2024」では、その具体的な技術を数多く公開。過去2回の記事では「Thin」と「Light」の具現化技術をリポートしてきた。 当記事では「Wise」を具現化するE&E(電気・電子)アーキテクチャーやAD/ADAS(自動運転/先進運転支援システム)の進化について紹介するほか、デジタルUX(ユーザーエクスペリエンス)の体験リポートをお伝えしたい。 「0」シリーズではAD/ADAS、コア(=ダイナミクス、電装品、エネルギーマネジメント)、IVI(車内インフォテインメント=デジタルUX)からなる3つの領域ごとにECUを集約し知能化した、ホンダ独自のE&Eアーキテクチャーと、高速通信ネットワークを搭載する。 また、独自の車載OSやアプリケーションを実装し、車両の各機能やデータに自由にアクセス可能として、データ収集・分析、アプリ開発・配信のサイクルを高速化。これらをOTA(Over The Air。無線通信)アップデートにより継続的に進化させることで、ユーザーへ常に新しい価値や体験を提供するという。 では、こうしたE&Eアーキテクチャーの元で、AD/ADASはどのように進化するのだろうか。 ホンダは2021年3月に、世界初となるレベル3自動運転を実現した「ホンダセンシングエリート」を搭載するレジェンドを100台限定でリース販売したが、こちらはLiDARとミリ波レーダーが各5個、フロントステレオカメラが1個、ソナーが12個、広角カメラが4個、ドライバーモニタリングカメラが1個という、贅沢なセンサー構成だった。 これに対し、今回公開された「0」シリーズのAD/ADASセンサーは、LiDARが1個、ミリ波レーダーが5個、ソナーが12個、フロント単眼カメラが1個、マルチビューカメラが4個、ダイナミックレンジが広いサラウンドビューカメラが5個と、とりわけ高価なLiDARを削減しているのが興味深い。 その一方で、アメリカHelm.ai社の「教師なし学習」と熟練ドライバ―の行動モデルを組み合わせた独自のAI技術を実装。少ないデータ量でAIが学習することで、初めて走る道でも的確なリスク予測とスムースな回避を可能とする、より高精度な自動運転・運転支援を実現する。 そして、この技術を進化させることで、「世界最速での全域アイズオフ」、つまり高速道路・一般道を問わないレベル3自動運転のいち早い実現を目指すと、ホンダは宣言している。 デジタルUXによって実現しようとしている機能の数々も、その目的が「ストレスの最小化」および「楽しさの最大化」という点では、AD/ADASと変わらないといっていいだろう。 新型アコードやマイナーチェンジ後のシビックには、直感的に操作できる「Honda CONNECTディスプレイ」に「Android Automotive OS」が搭載されており、「Googleアシスタント」によるナビ・オーディオ、エアコンなどの音声操作も可能になっているが、今後これらを継続的にアップデートさせていく。