「プライオリティ・パス」だけじゃない!クレカの改悪…見逃せない「旅」関連の‶しれっと″変更の中身
ラウンジの壁に「撮影禁止」の注意書きがある空港も
プライオリティ・パスはそもそも、飛行機利用があったその日に、空港のラウンジやレストランなどの飲食店舗などで利用できるサービスのこと。ラウンジでの軽食・ドリンクの提供やシャワールームが使えることなど、筆者は航空会社のラウンジが利用できない航空会社の搭乗時、また格安航空会社(LCC)の利用時など、特に海外で重宝することが多かった。 一方で近年、「旅行でのお得なサービス」として、SNSなどで次々紹介されることが異常なほど増えてきたのも日々目の当たりにしてきた。 例えば、関西国際空港国内線の「ぼてぢゅう1946」での利用では、1人あたり最大3400円分の値引きで飲食ができる。筆者の地元空港であり、一度試しに利用してみたところ、客の半数以上がプライオリティ・パス利用で驚いた。 保安検査後エリアにあるものの、出発時も到着時も利用できるため、旅行での行きも帰りもわざわざ利用する人もいると聞く。しかも、プライオリティ・パスでの飲食店舗ではテイクアウトできることはまれだが、この店では、ドリンクとたこ焼きなどがセットになったテイクアウト用のメニューまで存在する。 ほかにも、プライオリティ・パスで利用できるラウンジが多いタイ・バンコクのスワンナプーム国際空港、シンガポール・チャンギ国際空港などでは、1度の搭乗で1ヵ所どころか何ヵ所も手あたり次第にラウンジや飲食店舗を‶はしご″して利用し、ラウンジ内部や軽食などの写真や動画を撮り、YouTubeやインスタグラムなどのSNSやブログなどに投稿する行為を行う人々が、ここ数年で明らかに増えた。筆者が訪れた台湾・高雄国際空港ではそれもあってか、ラウンジ内の壁に「撮影禁止」と貼られた注意書きを見かけたこともある。 ◆従来の利用からかけ離れた行為とSNS投稿の関連性 関西国際空港にあるぼてぢゅうの場合、利用者にとっては3400円分が無料で食べられ、店舗側はカード会社に利用金額をそのまま請求するだろう。しかし、カード会社からすれば、年会費1万円足らずで年間どころか、たった1回の旅行で何ヵ所も利用されては、その費用が負担になってくるのは容易に想像がつく。 また、中部国際空港(セントレア)を、プライオリティ・パスの聖地と称するSNSユーザーもいる。第1ターミナルの「海膳空膳」「ぼてぢゅう」、フライト・オブ・ドリームスの「THE PIKE BREWING RESTAURANT & CRAFT BEER BAR」で、3400円相当の飲食が‶それぞれ″でき、「くつろぎ処」では飲食だけでなく展望風呂も利用可能。国際線出発時には3ヵ所のラウンジも利用できる。これらすべてをわざわざセントレアまで足を運び、楽しむ様子を紹介するまとめ投稿も散見される。 いずれにせよ、一部のYouTuberやインフルエンサーらによる異常ともいえる利用回数が、自らの首を絞めてしまった形となったと言えるだろう。そして最も割を食ったのは、ラウンジを適正に利用していた出張などの一般ユーザーだ。 ちなみに、プライオリティ・パスは一般販売もされている。これまで楽天プレミアムカードで提供されていたのは3ランクあるうちの「プレステージ」で、年会費469米ドル(約6万7000円)だ。それが年会費1万1000円だったことを考えると、そのお得度は半端なかった。