「沖縄のサンゴを守る!」化粧品ブランドが取り組む、環境保全プロジェクトの“現在進行形”
近年、環境に配慮した日焼け止めに表示されることが多い「リーフフレンドリー処方」。紫外線吸収剤やナノ成分を使用していない、耐水性(ウォーターレジスタンス設計)であることなど、生態系にかく乱の危機が訪れているサンゴ礁や海洋環境にやさしい処方であることを意味する。加えて、いくつかのブランドは商品で環境に配慮するだけでなく、サンゴの再生活動や、リーフチェックのモニタリングなど、積極的に海洋活動にも尽力しているのをご存じだろうか。
紫外線吸収剤不使用の敏感肌用日焼け止めを発売している「エトヴォス(ETVOS)」は、2020年からサンゴの苗を寄付する活動やビーチクリーン活動をNPO法人の美ら海振興会とともに行っている。活動のきっかけは“サンゴの白化”だったという。
「『エトヴォス』ではミネラル由来の日焼け止めがヒーロー商品であることから、以前からビーチで使用される紫外線吸収剤配合の日焼け止めが与える“サンゴの白化”について考え、海洋保全活動に興味を持っていました。そんな中、サンゴを新たに植え付けたり、ビーチクリーン活動などを行ったりすることで、間接的にサンゴや沖縄の海を守ろうとしている美ら海振興会のことを知り、活動の資金をサポートさせていただくことになりました」(エトヴォスPR・ティシュキン千晶さん)
美ら海振興会は沖縄の複数のダイビングサービスが加盟している団体。サンゴの苗を植え付けるだけでなく、その後のモニタリングとメンテナンスを継続的に行っている。
「私たちは海に直接かかわる仕事をしていることもあり、きれいで豊かな海を維持するために1998年からサンゴの移植活動とゴミを取り除く活動を行っています。地元の専門学校生などにも協力してもらっているほか、ダイバーも多い時では350人ほど集まり、1500株ほどのサンゴの苗を植樹したこともありました」(美ら海振興会代表・松井さとしさん)。
とはいえ、サンゴは単に海底に置くだけではうまく定着しないことから、定着率を高めるために試行錯誤したという。「いまではサンゴ食性の魚類による食害から守る“保護カゴ”を工夫したり、植え付ける場所やタイミングを研究したこともあり、生存率は大幅に高まっています」。