「マンション修繕積立金を月1万円の大幅値上げする」…!管理会社が後押しする“モンスター理事長”のせいで、全所有者の資産価値「急落」のワケ【マンション管理クライシス】
十分な根拠なしに行われる高額な工事
スタイルアクト代表の沖有人氏がいう。 「値上げを主導する理事会の役員は、自らの行動が、同じ屋根の下で暮らす隣人の生活に負担を強いて、資産価値にまで負の影響を与えてしまうことになる自覚を持つべきでしょう。本来は全所有者に小さくない負担を強いる以上、値上げをしなかった場合のリスクを、具体的な根拠やデータに基づいて詳しく説明すべきです。 例えば、値上げをせず工期を後ろ倒しにすると、『漏水が発生する確率が5→30%に増えて被害戸数が複数にわたる』というような発生率のデータがあるならまだ分かります。しかし、大抵の説明は、シーリング部材などの耐用年数を提示して、『漏水の可能性がある』や『他もそうしている』と言うくらいです。そもそも、リスクはあるのが当たり前で、可能性の“有無”ではなく、数字で示さないと意味がありません」 例えば、大規模修繕の工事周期が18年だと『危ない』と主張するなら、少なくとも一般的な材質グレードのマンションで18年超の周期を採用している物件は少なからず実在するので、そこで看過できない不都合が発生したという統計的な根拠が説明できないのは本来はおかしいはずだ。
積立金が安い「築古マンション」は廃墟?
沖氏が続ける。 「そもそも大規模修繕の実施は資産価値の向上には寄与しません。毎月の修繕積立金が仮に平均値より多少、少ない物件でも、その範囲でできる修繕をきちんとしているマンションであれば、ほとんどのケースで結果的に住環境への問題は出ていないのです。 これについては、もう答えが出ていて、例えば築50年の同等立地、同等仕様の物件で修繕費が月1万円程度しかかけてないマンションと月2万円のマンションでは、前述のように間違いなく修繕費が1万円のマンションの方が価格的な資産性の意味での評価は高い。それは不動産ポータルサイトで比べればすぐに確認できます。 ある程度の修繕ができていれば、多少の傷みは、住人も受け入れるもので、維持費はできれば安いに越したことがないと考えている人が大半なのです」 よく、積立金が潤沢だと言うのを自慢している管理組合があるが、住民に日々の生活負担を押し付けてまでして、管理組合に余剰金を作る必要はどこまであるのか。全く褒められるべきではないだろう。 しかも、次の修繕で担当する理事会が「お任せ体質」だと、せっかく溜まった修繕積立金も割高な工事に消えてしまいかねない。維持費がやたら高い物件は、管理や修繕が充実している優良なマンションではなく、管理会社の喰い物にされているマンションという見方すらできるのだ。 前出の住宅ジャーナリストが言う。 「近年は積立金の値上げが『善』で、値上げ反対が『悪』であるかの風潮がありますが、これは大間違いです。 『必要な修繕ができない』とよく言われますが、必要かどうかの基準は、管理組合の工事から収益を上げる管理会社や工事業者の見立てに依存しており、当然営利的側面が強くなる。これは非常に重要なポイントで、多くの管理組合はこうした利益相反構造への危機感があまりにも無さすぎるのです。そして、本来、必要のない余計なお金を支払ってしまっています。 本当に積立金が安いままならどうなるのか。本当に不都合が出てしまうのか。それは築古の修繕積立金が安い物件をみれば、修繕積立金を引き上げない場合のある程度の“未来”を示唆していると言えます。修繕積立金が安い物件は、果たして評価されず叩き売られているのか、ポータルサイトで確認すれば、その答えはすぐ分かりますよ」
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