「マンション修繕積立金を月1万円の大幅値上げする」…!管理会社が後押しする“モンスター理事長”のせいで、全所有者の資産価値「急落」のワケ【マンション管理クライシス】
「長計」は管理会社の「営業計画書」
しかし、修繕積立金の平均値は、“賢明な”修繕や管理を前提にするなら、高すぎる可能性があるという。 「多くのマンションは長期修繕計画(長計)を元に毎月の修繕積立金を算出していますが、この長計自体が、直接の工事費用とはほとんど関係のない管理会社や設計コンサル会社の“取り分”も過分に見込んで作成した営業的な側面も強い計画だからです。 長計は彼らの“営業計画書”と揶揄する声もあるほどです。一般的な管理組合では、修繕事業者への『おまかせ』である場合が多く、平均値自体が、すでに割高な金額の集積である可能性が高い。 大規模修繕の費用は、管理組合が工事業社の選定業務で、管理会社や設計コンサル会社に『おまかせ』にした場合と、彼らを排除し、無駄のない工事周期と手数料分を浮かせた場合とでは金額は大きく変わります」(前出の住宅ジャーナリスト) こうした目に見えにくい機会損失を生みやすい構図に関心を持とうとせず、近年は理事会の方から積立金の値上げを提案するケースも増えてきているという。 「物価高や廃墟化リスクなどの報道や情報を真に受けて、値上げ計画に積極的な理事会も増えてきた印象です。 しかし、なぜか支出の根拠である長計の方は、見直したり妥当性の検証には積極的ではない。市販品の定価と同じように、プロが策定した計画は基本的に変えられないという思い込みがあるのでしょう。 そして、当然、収益に繋がる積立金の値上げに積極的な理事を、管理会社はプッシュするのです」(住宅ジャーナリスト)
なぜか値上げに「前のめり」になる理事会
しかも、大半の人にとっては関心がなく負担にしか思わない理事会も、張り切ってしまう人にとっては“ブルーオーシャン”だ。理事長などの肩書きを得てしまうと、偉くなったと勘違いしてしまう人も少なくないという。そして彼らの自尊心を満たすのが、痛みを伴う修繕積立金の“値上げ改革”だ。 「理事の中には無料セミナーなどに行って知識を得たつもりの人もいますが、これはウラで修繕事業者が後援している場合も多く、実体は単なる営業の場であることも少なくない。そして『積立金不足』の情報などに感化されて、使命感から値上げに舵を切って突っ走ってしまいます。」(住宅ジャーナリスト) 大半の住民(組合員)にとってはマンション管理や修繕への感心や優先順位が高くないのは、築年数が経っても、低い総会の出席率からもみて明らかだ。新築時と違い、築20~30年も経つと、建物もそれなりに痛むが、それほど文句もなく受け入れられるものなのだろう。 本来なら理事会は組合の代表であり、自分がどうしたいかではなく、組合員がどう思っているかを汲み取って修繕計画の落とし所を探るのが役割であるべきだ。しかし、マンションを第一優先に考えるあまり、前のめりになってしまう理事も近年は少なくないようだ。 果たして、マンションの積立金会計は、日常の生活負担や維持費高騰による資産性への悪影響を受け入れてまで、優先すべきものなのか。少なくとも、まずは出費や修繕の経済合理性を考える方が先決だろう。
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