大日印、エリオットが保有株の大半を売却-大株主上位から姿消す
(ブルームバーグ): アクティビスト(物言う投資家)として知られる米ヘッジファンド運営会社エリオット・インベストメント・マネージメントが保有する大日本印刷株式の大半を売却していた可能性が高いことが分かった。
大日印が今月提出した半期報告書を見ると、9月末時点の大株主上位10社にエリオットの名前が入っていない。Elliott International LPは昨年度末時点で発行済み株式総数の2.7%に当たる647万7000株を保有しており、10位の大株主の保有状況から360万株以上を売却した計算になる。エリオットの関連会社で1.27%、304万8000株を保有していたLiverpool Limited Partnershipも姿を消した。
大日印のIR担当者は、他の名義で所有している可能性はあるが、ほとんど保有はなくなったと認識していると語った。ブルームバーグのメールでの問い合わせに対し、エリオットは回答を差し控えるとした。
エリオットは一方で、今年は今月明らかになった東京ガス含めて日本企業4件に新規投資を行っている。東京証券取引所が企業に資本コストや株価を意識した経営を要請したことで、企業の株主還元強化への期待が高まる中、アクティビストが日本企業に積極的に投資する状況は変わっていない。
23年1月に保有
エリオットが大日印の大株主になったことが明らかになったのは2023年1月。その後2か月足らずで大日印は総額3000億円の自己株取得計画を発表した。エリオットは過去最大の自社株買い計画を歓迎する声明を出していた。
投資家との対話にあまり前向きではないとのイメージがあった大日印が、株式時価総額(当時)の2割を超える自社株買いを突然発表したことは、株式市場で大きな驚きをもって受け止められた。同時に、アクティビストの参入で日本企業の株主還元へのスタンスが変わるとの期待を高めるきっかけともなった。