「最近よく眠れない…」不眠に悩む人に試してほしい牛乳の飲み方【医師が解説】
砂糖入りの牛乳が、心地よい眠りのカギになる!
手軽にメラトニンを補える食品の代表が牛乳です。
メラトニンを体内で生産するためには、必須アミノ酸の一種である「トリプトファン」が重要な役割を果たしています。トリプトファンは自律神経を整えて緊張や不安を取り除くセロトニンという物質をつくる材料になります。セロトニンは朝起きたときから分泌が始まりますが、夜になると、このセロトニンを材料にして「睡眠ホルモン」とも呼ばれるメラトニンがつくられるのです。 トリプトファンはアミノ酸なので、タンパク質をたくさん食べれば十分に摂れます。しかし、「高たんぱく食の代表といえば肉だ」とばかり、肉をどんどん食べていると、コレステロールや脂質も多く摂るようになり、動脈硬化や肥満、脂肪肝などの心配が出てきます。最も手軽で健康的にトリプトファンを摂ることを考えると、おすすめなのが、朝、昼、夜の食事の前に、砂糖入りの牛乳をたっぷり飲むことです。 牛乳には、トリプトファンがたくさん含有されていますが、吸収されたトリプトファンが血液に入り、脳に送られるためには、インスリンが必要なことがわかっています。そこで、インスリンを分泌させるために、牛乳に砂糖(ブドウ糖)を入れるわけです。こうすれば、十分な量のトリプトファンを脳内に送れます。 夜は牛乳を温めて飲むのがおすすめです。欧米では昔から「寝る前にホットミルクを飲むとよく眠れる」といわれていて、体を温めることからも、安眠効果、リラックス効果があるとされていました。それもそのはず、そもそもミルクは親が子どもに与えるもの。ミルクをたっぷり飲んだ赤ちゃんは、多少の刺激を与えても目を覚まさず、ぐっすりと眠っていますよね。大人の場合にも同様の鎮静効果をもたらしてくれるのです。 ただし、牛乳に含まれる脂質や糖質が胃の中に残っていると、睡眠中にも消化器官が働くことになり、熟睡しにくくなります。そこで、寝る直前よりも早めの時間、夕食前などに飲むほうがいいでしょう。 ここまで読んで、「一日3回も砂糖入りの牛乳を飲んだら太るのでは」と心配になるかもしれませんね。でも、大丈夫です。セロトニンは別名「幸せホルモン」ともいわれ、精神を安定させる働きがあります。そのため、脳の摂食中枢を抑制して、食欲を抑える作用があるのです。つまり、トリプトファンをたっぷり摂ってセロトニンが十分に分泌されるようにしておけば、食欲が抑えられるのです。実際、食事前に砂糖入り牛乳を飲む生活を送った結果、一週間に1キロほど体重を減らせた人もいるそうです。 本文は『50歳からの これでグッスリ!! 眠りの習慣』(小学館)より一部抜粋・編集しています。 メイン画像提供:Adobe Stock