なぜ中国で児童の無差別殺傷事件が相次ぐのか…100年前に魯迅が発していた「警告の中身」
そして、2024年の状況
さて、そこで、今年(2024年)の情況はどうなのか。代表的な例を列記すると以下の通り。 ・2024年3月4日の午前9時近く、湖南省衡陽市祁東県河洲鎮三友村の三友小学校では朝食時間が終わる間際で、ほとんどの生徒は教室へ戻り、食堂には低学年の女生徒が3人だけが残っていた。そこへ刃物を持った男が突然侵入し、7歳の女生徒が頭部を切られて即死、もう一人の女生徒も頭部を切られて重傷を負い、急を聞いて駆け付けた校長も男を捕えようとして手を負傷した。現場から逃亡した犯人はすぐに逮捕されたが、小学校の近所に住む40歳前後で大学卒業の学歴を持つ無職の男だった。彼は地元出身者ではなく、その戸籍は衡陽市内であった。なお、犯行理由は何も報じられていないが、犯人は精神病患者であり、2023年にも刃物を所持して三友小学校に不法侵入して生徒2人を負傷させた前科があった ・2024年5月20日の昼頃、江西省貴渓市文坊鎮の明徳小学校に45歳の女(潘某某、貴渓市民、職業不詳)が果物ナイフを所持して侵入し、生徒に手当たり次第に切り付け、死者2人、重軽傷者10人を出した。犯人の潘某某は同校教員の妻だと言われているが、それ以上の詳細は報じられていない。 また、2024年9月18日に広東省深圳市で小山航平君が殺害された後にも、広東省広州市と浙江省寧波市では次のような児童に対する無差別殺傷事件が発生していた。 ・2024年10月8日の午後2時頃、広東省広州市珠江新城にある天河第一小学校華穂校区の校門付近では昼休みを自宅で過ごした生徒たちが再登校して来ていた。そこに突然刃物を所持した男(趙某、60歳、職業不詳)が出現して生徒たちに襲い掛かり、小学生2人を含む3人に重軽傷を負わせた。趙某は自分が抱える裁判沙汰が思い通りに行かないことに腹を立て、その鬱憤を小学生に向けて発散しようとした模様である。なお、中国メディアは「小学生2人を含む3人が重軽傷」と報じているが、某中国語サイトによれば小学生2人は即死であったという。 ・2024年10月22日午前6時40分頃、浙江省寧波市海曙区横街鎮にある「小区(団地)」の入口で小学校へ通学途中の女児とその母親が見ず知らずの男(陶某某、50歳、職業不詳)に刃物で切り付けられた。母親は刃物を持って追いかけてくる男から女児を守って必死に抵抗したが、理性を無くした男の力には勝てず、女児も切りつけられて、2人は血だらけで医院へ緊急搬送された。 上記の事件に対して中国のネットユーザーは、「近期中国国内発生多起随機砍学生案件(近頃、中国国内では偶発的な学生切り付け事件が多発している)」と述べていて、外交部の毛寧が蘇州日本人学校事件について論評した際に述べた、「偶発的事件」と同様な見方をしている。