「バイデンは認知機能のテストを受けろ。クリアできないはずだ」テレビ討論会で“ボケ老人”と化したバイデンが、トランプに完敗…激化する「撤退要求」と「バイデンの代打」の可能性
大失態を連発
「67% vs 33%」――。 今年11月の米大統領選挙で再選を目指す現職のバイデン大統領(81歳)が現地時間の先週木曜日(6月27日)、アトランタ(ジョージア州)で開催された米大統領選挙の第1回テレビ討論会で、自ら選挙戦の遂行を困難にする大失態を連発した。 【画像】韓国・文在寅の「引退後の姿」がヤバすぎる…! 1時間半ほどの討論の間に、支持者らが目を覆うような事実関係の言い間違いや論戦で言葉が出て来ない立ち往生を繰り返し、かねて懸念されていた大統領職を向こう4年間全うするには高齢で衰えているという不安材料を自ら裏付ける格好となったのだ。 混迷は深く、民主党びいきで知られるニューヨーク・タイムズ紙が翌28日付のインターネット版で「To Serve His Country, President Biden Should Leave the Race」(国を救うため、バイデン大統領は選挙戦から撤退すべきだ)と題する社説を掲載し、「4年前の彼ではない」「トランプ氏の嘘、失敗、恐ろしい計画の責任を問うのに苦労した」「発言を最後まで言い終えるのに苦労したことも一度や二度ではなかった」などとして、バイデン氏に対し、「今できる最大の公益は、再選を目指して出馬しないことを発表することだ」と選挙戦から撤退するよう要求する事態も起きている。バイデン氏が続投するにしろ、民主党がピンチヒッターを立てるにしろ、民主党内は立て直しにかなりの時間を要しそうな雲行きなのである。 その一方で、周知だが、敵失で優位に立った共和党のトランプ前大統領は、2020年の大統領選挙の結果を受け入れず、支持者を煽って、米議会議事堂に暴徒を乱入させた罪など、いくつもの罪で訴追を受けている。そればかりか、外交・通商面でも、1期目の就任直後に、世界的な地球温暖化対策の枠組みである「パリ協定」や太平洋地区の自由貿易協定「TPP」から躊躇せず撤退したような異端児だ。今回のテレビ討論会は、結果として、米国だけでなく、国際社会や日本にとっても危うい未来が到来するリスクをかつてないレベルに押し上げている。 討論会の開始直後から、バイデン氏の影はまるでかげろうのように薄かった。かすれた声はあまりに小さく、ぼそぼそと何を言っているがわからない。中継するテレビのボリュームを上げでも、口をもごもごさせているだけで、いったい何を言おうとしているのかが聞き取りづらい状況だったのだ。 冒頭で、トランプ氏がバイデン氏を攻めたのは、バイデン政権が手こずっているインフレ対策だった。先攻のバイデン氏が、「(トランプ氏から)政権を引き継いだときに経済はすでに崩壊していた」「トランプ氏はパンデミック処理で経済が大暴落する状況を残し、失業率は上昇していた。2兆ドルの減税をし、どの大統領よりも財政赤字を増やした」などとジャブを放ったかに見えたものの、トランプ氏は米国の消費者物価上昇率が2022年になって跳ね上がったことを引き合いに出して「(バイデン氏に政権を)引き継いだ時に9%のインフレはなかった」とあっさりと逆襲した。 消費者物価上昇率は先月(5月)になって、3%台まで低下している。とはいえ、なお水準としては高く、家計を圧迫しているうえ、米連邦準備理事会(FRB)が政策金利を高止まりさせており、住宅ローン金利や家賃が高騰した問題もある。それゆえ、トランプ氏がまず緒戦で、有権者へのアピールに成功する展開となった。 そして数分後。突然、バイデン氏は訳の分からない言葉を発してしまった。「我々はついにメディケアを破壊する」と。胸の内では、懸案だった医療制度の拡充を果たしたと誇示したかったのだろうが、言い間違えてしまったとしか考えようがない。 ちょっと解説しておこう。このメディケアというのは、米国独自の医療保険制度のことである。実際のところ、米国には、公的医療保険制度が2つ存在する。第1が、このメディケアで、65 歳以上の高齢者と障害者が対象だ。第2は、低所得者が対象のメディケイドである。この2つの制度の対象でない人々は、医療保険の恩恵を受けたければ、自ら民間の医療保険に加入する必要がある。大部分の人は民間医療保険に加入せざるを得ないのが実情だ。医療費が高い米国では、この民間の医療保険費の支払いに窮する人が非常に多い。 そうした中で、メディケアと社会保障は、バイデン政権が今年3月の一般教書演説で、富裕層や法人に対する増税を軸に今後10年間で財政赤字を3兆ドル(約440兆円)減らすことを目標にする緊縮予算案を打ち出す中で、例外的に「保護し、強化する」対象と説明してきたのがメディケアだ。こうしたことから、社会的な弱者への思いやり政策として、バイデン氏は討論会の場でこの政策を自らの公約として誇示したかったのだろう。 ところが、バイデン氏は失言し、逆のことを口にしてしまい、慌ててしまったものと推察される。こうしたミスは、バイデン氏が通常の演説の際に使い慣れているであろうプロンプター(ディスプレーに演説を映す装置)が無いばかりか、予め用意した紙の原稿を持ち込むことも禁じていたテレビ討論会ならではのハプニングだったとみられる。