「バイデンは認知機能のテストを受けろ。クリアできないはずだ」テレビ討論会で“ボケ老人”と化したバイデンが、トランプに完敗…激化する「撤退要求」と「バイデンの代打」の可能性
「首のすげ替え」は難しい
挙句の果てに、以前と変わらぬアメリカ第一主義者であることを知らしめるかのように、米国を除く北大西洋条約機構(NATO)加盟国から「もっと資金を拠出させるべきだ」と同盟国の神経を逆撫でする発言も厭わなかった。 こうした言いたい放題の暴言の連発に対し、バイデン氏は「これほど愚かな話は聞いたことがない。この男は(米国を)NATOから脱退させたがっている。我々の強みは同盟関係にある」と返すのがやっとだったのだ。 冒頭で記したように、討論会に対する評価は、バイデン氏に厳しいものだった。米ニュース専門チャンネルのCNNが討論会の直後に発表した世論調査によると、共和党のトランプ氏が勝利したと回答した人は全体の67%、バイデン氏が勝利したと人は同33%と、バイデン氏はダブル・スコアでトランプ氏に敗れた。 CNNだけではない。米国の政治サイト「リアル・クリア・ポリティクス」によると、大統領選の当選予想サイトの平均は、バイデン氏の勝利を予想する向きが討論会前の35.7%から討論会後に22.2%に急落。対照的に、トランプ氏を勝者とする予想は討論会後に54.8%と討論会前より3ポイント上昇した。 こうした状況に爆発した民主党支持者の不満を代弁して見せたのが、米紙ニューヨーク・タイムズである。冒頭で述べたように、社説で、バイデン氏に対して、自ら大統領選挙戦から撤退するように促したのである。 だが、民主党では、バイデン氏に大統領選からの撤退を求める声は出ておらず、民主党の大統領候補の首のすげ替えは決して容易ではなさそうだ。 そもそも、首のすげ替えは難しい。大統領選を戦う民主候補を選ぶ予備選はすでに終了し、バイデン氏が代議員の大半を獲得して指名が確定しているからだ。バイデン氏の獲得代議員数は、AP通信の集計によると、これまでに3937人中の3,894人に及んでいる。同党の規則では同氏が立候補を断念しない限り、この代議員たちはバイデン氏に投票する義務がある。 実際のところ、当のバイデン氏は闘い続ける覚悟を鮮明にした。同氏は討論会から一夜明けた現地時間の金曜日(6月28日)、大統領選のすう勢を決めるカギを握る激戦区7州のひとつ南部ノースカロライナ州で開かれた集会で演説、打って変わったアグレッシブな姿勢を打ち出した。討論会については「私は若くはない。討論も以前ほどうまくはできない」と認めたものの「倒された時は立ち上がらなければならない」と巻き返しへの強い意欲を見せたのだ。詰めかけた聴衆は、バイデン氏の言葉に熱狂した。この変身の背後には、バイデン氏に大きな影響を与える同氏の妻ジルさんの変わらぬサポートがあったとされている。 党内の実力者たちもバイデン氏支持で足並みが揃っている。 討論会が行われた日(27日)の夜、民主党内のトップを切る形で、バイデン氏擁護の声を挙げたのは、CNNのインタビューに応じたハリス米副大統領だ。彼女は「米国民が注目すべきなのは、バイデン大統領が在任中に何を成し遂げてきたかであって、(この日開催された)大統領選討論会の壇上でのパフォーマンスではない」と主張。「私は3年半の実績について話している。それは歴史的なものだった」と言い、「NATOとの連携強化や雇用の創出」と成果を並べてみせた。