「バイデンは認知機能のテストを受けろ。クリアできないはずだ」テレビ討論会で“ボケ老人”と化したバイデンが、トランプに完敗…激化する「撤退要求」と「バイデンの代打」の可能性
オバマ「信じてほしい」
仮にバイデン氏が撤退すれば、有力な後任候補の1人になると見なされているカリフォルニア州知事のニューサム氏も討論会の会場で、マスメディアから「バイデン氏を大統領候補から外すべきではないのか」と問われ、自分は「古風」なので、バイデン氏が元気かどうか騒ぐより、討論会で話題になった「中身と事実」が大事だと思うと答えた。そのうえで、「(撤退は)不要だ」と明言した。「一度のパフォーマンスで背を向けることはない」とも強調した。 さらに、オバマ元大統領はX(旧ツイッター)に投稿し、「悪い討論の夜は起こり得る。が、信じてほしい、私には、今回の選挙が、人生を通じて人々のために戦ってきた人物と、自分自身のことしか考えていない人物のどちらを選ぶかの選択であることに変わりがないとわかっている。真実を語り、正しいことと間違ったことを知り、アメリカの人々に率直に伝える人物と、自分の利益のために平気で嘘をつく人物のどちらを選ぶかの選択なのです。昨夜、それが変わったわけではない」と書き込んで、引き続きバイデン氏を支持していく考えを表明した。 こうした実力者たちの発言の背景には、まだ9月の期日前投票や11月の投票まで時間があり、討論会のダメージを回復するために必要な時間は十分あるという判断がある。加えて、万が一、この段階になってバイデン氏が撤退した場合、民主党内にはまとめあげられる有力候補が見当たらず、左派との対立などが表面化。党が分裂しかねないという懸念が強いことも見逃せないとされている。 だが、討論会におけるバイデン氏の自滅で、トランプ氏がこれまで以上に優位な立場に立ったことは否定できない。トランプ氏陣が大きな失策でも犯さない限り、この優位が崩れるとは考えにくい。 とはいえ、猜疑心が強く、外交や安全保障すらビジネス的なディール(駆け引き)としか捉えられないことが1期目の政権運営で明らかになっている、あのトランプ氏が再任されれば、日米同盟を基軸とする日本の安全保障政策が揺さぶられる日が来ないとは言い切れない。 中国とのデカップリング(分断)が急ピッチで進む経済、通商政策では経済規模の小さい日本が早々に米国と袂を分かつことは難しい。 だからと言って、同盟国と仮想敵国を区別せずディールを仕掛けることを好むトランプ氏が及ぼすリスクを無視することはできない。 静かに、国内で、米国に依存し過ぎない外交や通商、防衛策作りの検討が必要だ。そういう新しい時代の到来への備えを、米大統領選の結果を待たずに着手することが重要になっている。
町田 徹(経済ジャーナリスト)