「バイデンは認知機能のテストを受けろ。クリアできないはずだ」テレビ討論会で“ボケ老人”と化したバイデンが、トランプに完敗…激化する「撤退要求」と「バイデンの代打」の可能性
“ボケ老人”と化したバイデン
しかし、視聴者の目に移ったのは、大統領には相応しくない、一瞬にして“ボケ老人”と化したバイデン氏の姿だった。 そして、トランプ氏はこの機を逃さず、勝ち誇って突っ込んだ。「彼(バイデン氏)は正しい。メディケアを破壊しようとしている」「数百万、数千万の人(不法移民)が(米国に)入ってきて、社会保障を壊すだろう」と、持論の移民締め出し問題の主張を展開する場に変えてしまったのである。トランプ氏は討論会の間、随所で、司会者の質問を無視して、バイデン氏に対する「攻撃材料」として不法移民問題を持ち出した。 メキシコ国境から流入する不法入国者の急増は、共和党支持者だけでなく、民主党支持者の中にも犯罪の増加要因として懸念する声が少なくない。このことを周到に計算に入れた、トランプ氏ならではの揺さぶりだった。 トランプ氏は「我々は歴史上もっとも安全な国境を作っていた」と大風呂敷を広げる一方で、バイデン政権が国境を「開けっぱなし」にしたなどと大袈裟に非難することも忘れなかった。実際のところ、バイデン氏は今年6月、難民の申請を大幅に制限する大統領令を発するなど一定の対策を講じているが、トランプ氏との論戦で、有効な主張をできず、最後までほとんど切り返せなかった。 討論会の結果を左右することになった年齢問題では、司会者から「2期目の終わりには86歳になる」と質されて、バイデン氏は「私はキャリアの半分で、政治の世界で最年少だとして批判されてきた。上院議員に当選したのは史上2番目の若さだった。が、今は私が最年長だ」と応じ、話題を転じて「私がしてきたことを見てください。私は、彼が私に残していったようなひどい状況を好転させ、5000万件の新規雇用を創出した」などと、話題を彼の実績に切り替えようとした。しかし、間の取り方が稚拙で、とても年齢問題にきちんと答えたとは受け止め難く、尻すぼみの印象を免れなかった。 ここでも、トランプ氏はすかさず、バイデン氏の隙につけ込んだ。自らが認知機能テストを受けたことを披露したうえで、「(バイデン氏に対して)本当に簡単なものでいいから彼にも受けてみてほしい。(クリア)できないはずだ」などとあげつらわれてしまった。 もう一つ。攻めるべきところで攻めきれず、論戦に長けた“議会の子”バイデン氏の衰えと受け止められたのは、2021年1月の連邦議会に対する議事堂襲撃事件を巡るやりとりだろう。バイデン氏は「3時間、彼は何もしていなかった。共和党員も電話したが何もしなかった」と切り出し、襲撃事件で捕まった人々に恩赦を与えようとしているとの問題提起もした。 これに対し、トランプ氏は、「(バイデン氏が、政治的な意図で)司法を武器にした」とバイデン氏による陰謀論を示唆したうえで、自身は襲撃は指示しておらず、「平和的に解決しろと言っただけだ」などと自己弁護した。 実際には、トランプ氏がSNSを使い、支持者らに対して「議会に向かへ」という趣旨の呼びかけをしたことは周知である。それでも、バイデン氏はそうした点を追求できなかった。バイデン氏の追及不足に対し、民主党支持者の多くがいら立ちを募らせたと報じられている。 極め付きは、ウクライナに対する侵略戦争を続けるロシアへの対応を巡る議論だったのではないか。 トランプ氏は自身が大統領在任中に侵攻がなかったとしたうえで、「プーチン(ロシア大統領)に(バイデン氏でなく)尊敬される大統領がいたなら、ウクライナ侵略はなかっただろう」と言い放った。そして、自身が大統領選で勝利を収めれば、大統領に就任する前に「戦争を終わらせてみせる」と大見得を切ったのである。