【ラグビー】ファフ・デクラーク、復活のシーズンへ。課題解決で「いいパフォーマンスができる」
自分の動きは、「まぁまぁね」。横浜キヤノンイーグルスのファフ・デクラークが日本語で応じたのは12月7日。白いセカンドジャージィにベンチコートを羽織っていた。 南アフリカ代表のSHとして昨秋までにワールドカップ2連覇の33歳は、自身にとって3度目となる日本のリーグワン開幕を間近に控えている。 この日は昨季王者である東芝ブレイブルーパス東京と、敵地でプレシーズンマッチを実施。24-28と同トライ数で終えた。 「ポジティブな点がたくさんあったし、課題もあって、色々と学べる試合でした。ベストなパフォーマンスができたかと言えば、そうではない。ただし昨年のチャンピオンに対してこのような試合ができたことは、自信に繋がります」 2季連続4強以上で終えた昨季は、シーズン序盤に膝を怪我して離脱していた。今回は、それ以来となる先発出場だった。後半途中に退くまで、復調をアピールした。 キックオフ早々に見せ場を作った。中盤でできた接点のふもとで左足を振り抜く。敵陣の左隅を狙うキックでチャンスを広げ、先制点を挙げるまで球を継続した。 以後も攻守で光った。身長172センチ、体重88キロの身体で自分より大きな相手を羽交い絞めにしたり、大きな突破を決めた相手に追いつきタックルを食らわせたり、向こうの隙を突く走りでブロンドの髪をなびかせたり。 味方がポジティブな形でジャッカルを決めたと見るや、ちょうどその付近に立ってアシスタントレフリーへ相手の反則がないかを問うこともあった。 改めて、負けん気と抜け目のなさを示した。それでも本人は、自らの出来を「まぁまぁね」と言うに止めた。改善点があったからだ。 「パス、キックはよかった。ただ、状況判断のところでもう少しコントロールが取れたと感じます」 この日はブレイブルーパスに接点で圧を受け、しばしば攻めを鈍らされた。「最初の5分で(相手が接点に)3人もかけてきているのに気づきました」。今後はその接点を作る走者と援護役のぶつかり方を整理し、よりスムーズに展開したいと話す。 「そのあたりの修正ができれば、初戦でかなりいいパフォーマンスができる手応えを感じています。きょうは手術をしてから(交代出場を含め)2度目の試合でした。皆と一緒にプレーできたのが嬉しかった。次の試合に向けても、エキサイトしています」 22日に神奈川・日産スタジアムである開幕節でも、このブレイブルーパスを迎え撃つ。 高強度のセッションと頻繁な選手間ミーティングを通してまとまりを作ってきたいまの所属先にあって、「ここにはいい奴らが集まっている。皆、チーム愛があり、どれだけ苦しくでも、チームのために必死に努力する姿勢がある」。リーグワンでもっともライバルを苦しめることのできる世界的プレーヤーは、イーグルスの選手らしく泥臭くファイトする。 (文:向 風見也)