話が通じない人とは“脳タイプ”が異なる...科学者が説く、人間関係のモヤモヤの原因
自分が変われば人と通じ合える
わかり合えない相手との溝を少しでも埋める方法をお教えしましょう。相手を変えることは難しいので、自分の「認知バイアス」と「環境」を変えるのです。 1. 認知バイアスを変える 認知バイアスは視野を広げることで減らすことができます。まずは自分の判断が偏っていないか、思い込みではないかという客観的な視点を持つことが大切です。そのうえで、これまで拒絶していた異なる意見を受け入れましょう。 とはいえ人は簡単には変われません。そこでおすすめなのが「少し変えてみる」ことです。あえてコミュニケーションとは関係ないところで、たとえばカレーのルー、ランチのメニュー、牛乳のメーカー、散歩コースなど、いつも無意識に選んできた物事をほんの少し変えてみるのです。 失敗もあるでしょうが、新しい発見も多くあるはず。成功体験を重ねれば、脳は「変化を体験すると喜びを感じる」と学習します。その結果、視野が広がり、自分とは異なる意見にも耳を傾かたむけることができるようになるでしょう。 2. 環境を変える もう一つ、人とコミュニケーションをとるときにおすすめなのが、環境を変えてみることです。私たちの脳は環境によって違う傾向を示すことがわかっているのです。ちょっとした環境の工夫で相手とうまくコミュニケーションをとることができます。 次のいずれも研究報告があり、思った以上に効果を感じられるはずなので、ぜひ試ためしてみてください。 ●やわらかいものに座ると心がおだやかになる ●温かいものを持っているとやさしくなる ●甘いものを食べると親切になる ●天気がよい日は行動がポジティブになる ●緑のある場所で暮らすと創造性が高まり、攻撃性がやわらぐ
ミラーニューロンを活用しよう
ミラーニューロンは近年発見された脳の神経細さい胞ぼうの一つで「共感細胞」「ものまね細胞」とも呼ばれます。 「テレビで極寒の地で震えている人を見たら、自分も同じように寒さを感じた」など、他者の行動を脳内で鏡のように自分にも投影させることで、他者の行動や感情、感覚などを、自分も同じ体験をしたように感じることができるのです。 ミラーニューロンを利用することが、人とうまくコミュニケーションをとる助けとなります。 たとえば話が通じない相手でも、相手の話に耳を傾ける、なるべく相手と同じスピードで話すなど、相手を理解しようとする態度をとると、相手の脳は「共感してくれた」「理解してくれた」と喜びを感じます。 その相手の感情が今度は自分の脳のミラーニューロンを通して投影されることで自分も気持ちがよくなり、相手との信頼関係を築くことに役立つのです。
西剛志(脳科学者)