サハリン2「国有化」でロシアが手にする戦略的レバレッジ
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ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は6月30日、日本が長期にわたって投資を行い、対ロ経済協力の枠組みとして進めてきた、天然ガス資源開発の サハリン2 プロジェクトを新設するロシア国営企業に全て無償で譲渡することを求める大統領令に署名した。 この決定は、国家権力を用いて天然資源を国有化してきた、かつての中東諸国やラテンアメリカ、アフリカ諸国のケースに近い。一方で、もしロシアが提示する条件に同意し、出資を続けることを選択するなら、出資分は維持されるという点で完全なる国有化とも状況が少し異なる。 ただし、現在に至るまでロシア側が提示する条件は明示されておらず、出資によって、これまで得ていたメリット(低価格での天然ガス取得など)が継続されるかは定かでない。
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鈴木一人