"半導体の巨人"台湾TSMCが「次の成長ステージ」に入った
半導体受託生産の世界最大手TSMCは地元の台湾上場だが、ニューヨーク市場でもADR(アメリカ預託証券)の取引が可能(写真:ブルームバーグ)
アメリカ市場に上場している注目銘柄を取り上げる連載企画「はじめての米国株」。今回は、台湾の半導体メーカー、TSMC(TSM)を紹介する。(最新の ドル円相場はこちら です)TSMC(台湾積体電路製造)は、半導体受託生産の世界最大手である。台湾市場にも上場しているが、ADR(アメリカ預託証券)としてニューヨーク証券取引所にも上場している(1ADR=5株)。 最先端半導体の製造技術で世界の先端を走っており、多くの半導体企業が製造を委託している。米中対立の影響を受ける可能性もあるが、半導体市場の拡大に不可欠な企業である。 TSMCは1987年に創業された。自社製半導体の設計や開発は行わず、製造に特化する「受託生産(ファウンドリー)」の草分け的存在。半導体業界はかつて設計から製造まで一貫して行う「垂直統合型」が主流であった。しかし、半導体の技術進化のサイクルは早く、それに合わせて投資を行う負担が大きいことから、「水平分業」が広がった。 その中でTSMCは、(1)巨額の設備投資を続けられる規模、(2)微細製造工程の構築で世界の先頭を走る製造技術、(3)製造プロセスの視点での切開サポートによる開発効率化支援の3つを併せ持つことで差別化している。 受託生産における世界シェアは50%を超えており、半導体の線幅が7ナノメートル(ナノは10億分の1)以下となる先端プロセス(微細化の世代)では、TSMCのシェアは一段と高くなっている。多くのファブレス半導体企業(工場を持たず、設計や開発に特化する企業)が半導体を生産するうえで不可欠な存在と言えるだろう。
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大和証券 米国株執筆班