オーガニックでがん予防? 栃木・小山市の講座に疑問の声 専門家「こだわりの食生活の方がリスクを上げる可能性」 科学的に考える“食の安全”
「こだわりの食生活はリスクを上げる可能性もある」
では、農薬など人工的に使われる物質のリスクはどのように管理されているのか。 まず、動物実験などで毒性が出ない量を算出。そこからさらに100分の1の量を「許容1日摂取量(ADI)」と定め、実際の摂取量はそれを下回るように基準値を設定している。 畝山氏は「かなり安全に余裕をもたせている。天然物で同様のレベルにするのは難しい」という。「天然物では実際に動物に有害影響が出るものを私たちは食品として食べており、安全性の目安が全く違う。それだけ、人工的に使われるものについては厳しくしている」と説明した。 このように、農薬のほかにも食品にはそもそも様々なリスクがあり、未知の部分も多いという。 畝山氏は、本当の意味で食の安全性を考えるのであればリスク分散の観点から様々なものを食べることを推奨し、「こだわりの食生活はリスクを上げる可能性もある」としている。 「いま流通している日本の食品については普通に食べている分には安全。同じものばかりを食べるのではなく、種類・調理方法なども偏ることなく、いろいろなものを美味しく楽しく食べるのが1番。ただし、『食べるだけで痩せる』など根拠のないものには注意が必要だ」 では、「オーガニックでがん予防」など、根拠不明な情報については、どう対処していったらよいのか。 畝山氏は、自治体でそうした情報が流されている現状について懸念を示しつつ、「食品安全委員会などの公的機関は信頼してほしい」と述べた。 ノンフィクションライターの石戸諭氏は、「誤った情報に対しては、食品安全委員会が正しいエビデンスを示して具体的な名前を挙げて警告してもいい。SNSやYouTubeの誤情報は、“一部の極端な人たち”の間だけで広がっているものではなくなっている。常にネットの動向をチェックし、食品安全委員会などが『これが公式見解です』などと大々的にSNSや動画メディアでも発信する方向に舵を切ったほうがいい。そんな時代に突入している」と述べた。 (『ABEMAヒルズ』より)
ABEMA TIMES編集部