ワリエワ問題で議論再燃!フィギュアの五輪出場の年齢制限を15歳以上から17歳以上に引き上げるべきか…バッハ会長はIOC主導で検討示唆
フィギュアスケート競技を統括、管理している国際スケート連盟(ISU)は、これまでも年齢制限の引き上げを検討してきた。2018年の総会でも、怪我のリスクと、燃え尽き症候群などのメンタル面を考慮して、年齢制限案が提案されたものの議案からは外され採用は見送られたという背景がある。だが、ここ数年、特にロシアの有力選手の若年化が目立ち、すでに“ポスト・ワリエワ”として、4回転ジャンプを駆使する14歳のソフィア・アカチエワ、ソフィア・サモデルキナ、アナスタシア・ジニナらの選手がジュニア大会で活躍しており、さらに低年齢化が進んでいる。一方で2018年平昌五輪金メダリストのアリーナ・ザギトワが、17歳で事実上の引退を余儀なくされるなど、現役生活の“短命”も問題になっていた。 元全日本2位で、現在は千葉の「三井不動産アイスパーク船橋」に設立されたMFフィギュアスケートアカデミーのヘッドコーチを務める中庭健介氏は、「年齢制限の引き上げには賛成です」として、その論点として以下の3つをあげた。 ひとつ目は健康維持の問題。 「なぜ若年化が進んでいるのかと言えば、まだ肉体が成熟せず、体重が軽く、体が小さい段階で、練習を詰め込み、技術を習得すれば4回転ジャンプなど難度の高いジャンプを会得しやすいというフィギュア競技特有の土壌があります。ただ、肉体が成長過程にあり不安定な時期に強い負荷をかけ、体重制限などを課すことは、怪我や健康被害につながる可能性があり非常に危険です。個人差はありますが、体の成長が一度、落ち着くのが17、18歳と言われていますから、年齢制限を引き上げることで、そういった傾向に歯止めをかけることに繋がるのではないでしょうか」 2つ目はメンタルの問題。 「心もまだ不安定です。多感な時期に過度なプレッシャーがかかることで、ドロップアウトや燃え尽き症候群が起き、その後の人生さえ狂うことになります。小さな成長を喜び、長く現役生活を続ける環境を作ることが必要だと思います」 3つ目はコーチのハラスメントの防止だ。 「指導者や親御さんも結果を求めるあまり、指導を急ぎ、それがハラスメントが起きる温床になります。楽しむ事を忘れ、先を急ぎ結果を求めるがゆえに、体罰や暴言、ドーピング問題さえも起きる温床にもなります」 中庭氏が指摘するように、今回、フリーの演技を終えた直後の落ち込むワリエワにコーチのエテリ・エテリ・トゥトベリーゼ氏が、「なぜ3回転アクセルの(ミスの)後にあきらめたの?なぜ戦いをやめたの?説明しなさい」と強い口調で詰め寄ったシーンが映像で流れた。バッハ会長が「ワリエワの周囲の関係は、慰めるのではなくとても冷ややかな対応をした」と批判したほど。